九夜 ページ10
「お前、何で毒なんて盛られたんだ。どっか行ったのか？」
私はベッドに横たわって、彼はベッドの縁に座っている。
「本家から、夕食のお誘い。という名の私への牽制…？」
「食いもんに入ってたのか、最低な野郎だな」
「だから、ナプキンを綺麗に畳んで置いてきたわよ。二度とここの食事は食べたくないわ、って」
けたけたと一人で笑っていたら、快斗の目が一層細められて鋭い眼光が向けられる。
「笑い事じゃねぇよ、毒なんて下手すりゃ死ぬんだぞ」
「…でも、致死量じゃなかったし、すぐ食べるの辞めたし…」
「んな問題じゃねぇ。家族に毒盛られたんだぞ、お前は悲しくねぇのか」
悲しくないのか……何よ、その反則な質問。
「…悲しいわよ、勿論。でもしょうがないじゃない、私は腹違いだもの」
はは、と力なく笑うと頬に手が伸びてくる。
彼の親指が私の頬を撫でる。
「それはしょうがねぇで片付けるもんじゃねぇよ、A」
そして、悪戯に笑って、
「お前がどうしても家を出たいって言うんなら、怪盗キッド様が攫いに来てやるよ」
っ、…
絶対に赤くなっている顔を快斗に見られたくなくて、寝返りを打つ。
馬鹿、馬鹿馬鹿…そんな顔で言わないでよ…
「…A？」
「_何でもないわよ…快斗が、変なことを言うからでしょ…！」
「俺、変な事言ったか？」
「……貴方天然なのね…」
心拍を落ち着かせて、また寝返りを打つ。
「まあ、きっと私は家を出はしないけどね」
「…何でだ？家族も酷いやつなんだろ、辛くねぇのか」
「確かに、皆私に対しての当たりは強いし正直逃げ出したい。でもここにはお母様の思い出があるから守っていかなくちゃって…」
そう、私が幼い頃は親子共々ここへ押し込められて生きてきた。
だからこそ、この場所は守りたい。
それに、
「それに、最近は誰かさんのおかげで退屈しないもので」
彼の方に視線を向けると、彼は軽く笑って
「そいつは光栄だな」
「あら、別に快斗だなんて言ってないわよ」
「おいおい、そりゃねぇだろ」
「ふふっ、嘘よ嘘」
二人だけの暗い部屋で笑い合う。私も久しぶりに、口を開けて笑った。
「うし、俺はそろそろ帰るぜ。体大事にな」
「えぇ、色々と本当にありがとう」
「あぁ、また会いに来るぜ。A」
あ、聞きたいことがあったのに聞けなかった。
また会いに来る、のその言葉は私の心を踊らせた。
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蘇澳(プロフ) - 絲さん» 飛んできてくださってありがとうございます！よろしければまた読んでやってくださいませ〜 (4月25日 23時) (
レス) id: 92b4cb2eaf (このIDを非表示/違反報告)
絲(プロフ) - 更新通知を受け、すっ飛んできました…本当に大好きな作品なので、続編とっても嬉しいです（ ; ; ）楽しみにしてます♪ (4月25日 0時) (レス) @page43 id: 86d7744b06 (このIDを非表示/違反報告)
シアん。 - 軽く23回咳き込んだに見えてしまった (8月19日 8時) (レス) @page8 id: 2170ff9ae1 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - この小説私得だ…めっちゃ好きー。言葉に表せないくらい好きです！これからもがんばってください！ (2019年11月3日 22時) (レス) id: 1eb05cfcac (このIDを非表示/違反報告)
蘇澳(プロフ) - チイナさん» 私の拙い文章にそこまで言ってくださって本当にありがとうございます…！チイナさんのお言葉に感動して涙が出ました…そこまで私の作品を楽しんで下さりありがとうございました！感謝でいっぱいです！ (2019年7月24日 19時) (レス) id: e4a4be21c3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蘇澳 | 作成日時：2019年4月15日 7時
