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十六夜 ページ17

裸足で、ドレスの肩元を押さえながら走る。

恐怖か何か分からないけど、目からは涙が溢れて止まらない。


快斗…快斗に会いたい……!


丁度曲がり角のところで、誰かと勢い良くぶつかった。
でも私の体は尻餅を着くことなく、背中に手を回されていて、


「…助けて、助けて下さい…!」


助けを乞おうと目線を上げると、その人は


「…Aっ?」


「か、快斗……」


幾分私より背の高い彼の胸に飛び込む。
手が震えて止まらない。


「お前、何があったんだよ…」


それから、私の体へ目線をずらしてから大きく舌打ちし、より強く抱き締められる。


「っ…、悪ぃA。…また、守れなかった…」


快斗の悲痛な声に全力で首を振ると、その背中に手を回した。


________________


ちぇ、つまんねぇ。


Aはさっき一人で部屋に戻っちまったし。

お前が居なきゃ何の意味もねぇっつうの。


少し船内を回って、またAの部屋の近くまで戻ってくると大きな音を立てて開かれたドア、そして裸足で歩いているような足音。


真逆、Aに何かあったのか。


急ぎ足で角を曲がると、どんと人とぶつかる。
相手の背中に手を回して倒れないようにする。


何か、薄着じゃねぇかこいつ。

誰だと思い注意深く相手を見つめると、


「…Aっ?」



「か、快斗……」


結われていた筈の髪は解けて乱れていて、ドレスの肩紐は無残に千切れている。


それが何があったのか痛々しいほど物語って、俺の中にはふつふつと怒りが込上げる。


また、怖い思いをさせちまった。
俺の手を離れていくようだ、


震えたAを、掻き抱いた。


_____________

星が赤くなりました!!

皆様のお陰です!ありがとう御座います!

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蘇澳(プロフ) - 絲さん» 飛んできてくださってありがとうございます!よろしければまた読んでやってくださいませ〜 (4月25日 23時) (レス) id: 92b4cb2eaf (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 更新通知を受け、すっ飛んできました…本当に大好きな作品なので、続編とっても嬉しいです( ; ; )楽しみにしてます♪ (4月25日 0時) (レス) @page43 id: 86d7744b06 (このIDを非表示/違反報告)
シアん。 - 軽く23回咳き込んだに見えてしまった (8月19日 8時) (レス) @page8 id: 2170ff9ae1 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - この小説私得だ…めっちゃ好きー。言葉に表せないくらい好きです!これからもがんばってください! (2019年11月3日 22時) (レス) id: 1eb05cfcac (このIDを非表示/違反報告)
蘇澳(プロフ) - チイナさん» 私の拙い文章にそこまで言ってくださって本当にありがとうございます…!チイナさんのお言葉に感動して涙が出ました…そこまで私の作品を楽しんで下さりありがとうございました!感謝でいっぱいです! (2019年7月24日 19時) (レス) id: e4a4be21c3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:蘇澳 | 作成日時:2019年4月15日 7時

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