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叶わない43 ページ7

翼 「…あの、Aちゃん、腕」


翼くんの声ではっと我に返り、足を止め手を離す。


『…ご、ごめんね急に…』


翼 「どうかした?急に走り出すからびっくりした」


『…あ、知り合いがいて……私、知り合いいると逃げちゃう方だから…』


はは、なんて笑いながらそう言うと翼くんも笑って、


翼 「確かに、Aちゃんってそういうタイプそうだね。…俺、最初結構不安だったんだ、Aちゃんと仲良くなれるか。俺馴れ馴れしい性格だから、嫌われると思ってて…」


翼くんが、少し悲しそうに笑いながらそう言う。
そんな。その性格に私は助けられたのに。


『…私、人と話したくても口下手で上手く話せないの。だから、頑張ってくれたの嬉しかった。そのお陰でこうして普通に話せるまでになったし……今日は本当にありがとうね、翼くん』


キヨ兄以外の男の人と、こんなに話したの初めてだった。これを機に、ちょっとずつ治していこうかななんて思えた。


そしたら、彼はとても嬉しそうに笑って


翼 「…じゃあ、また誘ってもいいかな?」


『…うん、勿論』


翼くんが嬉しそうだから、まぁいっかなんて思いながら返事をした。新しい友達が出来て、嬉しかった。


その後は結局、お昼を食べずにそのまま帰った。
翼くんは良い人で、最寄りまで送るなんて言ってくれたけどそれは少し怖くて辞退したら、私の心を読んで引いてくれた。


翼 「じゃ、またねAちゃん」


『うん、ありがとう。また、大学で』


そう言って、二人別々の電車に乗った。

楽しかったと思うのとは反対に、心にはキヨ兄にこれが見られていないか心配で鼓動は鳴りっぱなしだった。


どうか、見ていませんように。


見ていたらきっとあの人は、頑張れと背中を押すに決まっているから。




それから、キヨ兄と会う時間が減って、逆に翼くんと遊ぶ時間が増えた。


何やら変に胸騒ぎがしたけど、気の所為だと思うことにした。

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蘇澳(プロフ) - りぃ@l」ω=さん» コメントありがとうございます!そう言っていただけてとても励みになりました^^*更新頑張りますのでこれからも末永くよろしくお願いします! (2020年3月2日 21時) (レス) id: e4a4be21c3 (このIDを非表示/違反報告)
りぃ@l」ω=(プロフ) - 一気に読ませていただきました!すっごく面白いですー!キヨさんのこと、もっと好きになっちゃった…笑これからも投稿楽しみにしてますね!早く続き読みたいー (2020年3月2日 21時) (レス) id: b3c6beb7e3 (このIDを非表示/違反報告)
蘇澳(プロフ) - しまちゃんさん» コメントありがとうございます!いつも皆さんに楽しんでもらえているか心配だったので良かったです!更新は変わらず遅いかと思いますが定期的に行うようにしますので、これからもよろしくお願いします!いつも読んでいただいてありがとうございます! (2020年2月29日 22時) (レス) id: e4a4be21c3 (このIDを非表示/違反報告)
しまちゃん(プロフ) - 初めて感想失礼します!楽しく読ませて頂いてます!次どんな展開になるのか楽しみで毎度読むのにワクワクしてます!待ち遠しくて最初から何回か読み返したりしました、、!ご無理のないよう、素敵な小説更新するの楽しみにしてます! (2020年2月29日 20時) (レス) id: d2a5bc168d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:蘇澳 | 作成日時:2020年2月13日 20時

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