親戚の子 ―2―

叶わない55 ページ21

母 「じゃ、気をつけてね。たまには帰ってきてね」


『うん、実技の週で暇な時帰るから』


私は今日、7日に帰ることになった。
理由は、大学があるからと倫音と帰ることになったからだ。

それに、キヨ兄ももう帰っちゃったからつまんないし。


すると、倫音からメッセージが届き、手を振って家を出た。

一刻も早く倫音に伝えたくて、雪道をコケながら走ったのだった。


_______


『ね、聞いてよ倫音。驚く進展があったの』


倫音 「何？新幹線の中なんだから静かに言ってよ？」


『聞いて驚け〜？……なんと、お兄に彼女、いませんでしたぁ』


倫音 「え！？ほんと！」



「『しー…！』」


と、二人で見つめ合って笑う。


そして、倫音がふんわり笑って私の手を摂る。


倫音 「良かったねA！望みあるじゃん！」


『うん、ありがとう！』


そしてきゃっきゃっと話し込み、東京まで寝ようと思っていたのに、全く眠れず東京に着いてから眠くなった。


また、倫音の惚気けが羨ましくて、妄想の幅が広がったのだった。


_______


「よ、A」


帰って来て数時間後、インターホンが鳴ってドアを開けたら荷物を持ったキヨ兄がいた。


『…どしたの？キヨ兄…』


キヨ 「いや、母さんからAにって色々預かったから」


『ん？あ、ありがとう。…寒いからまず入ってよ』


キヨ兄から荷物を受け取ろうとする。しかし、


キヨ 「重いから運んでやる」


『…え、あぁ、うん。ありがとう…』


荷物を受け取ろうとしたとき、ふっとキヨ兄の手が触れてしまって妙に気になってしまう。


前も結構意識はしちゃってたけど、キヨ兄に彼女がいないと知ってから余計意識してしまう。



あれ？あ、やだ。部屋の掃除してたっけ。
帰って来てすぐ眠くて寝ちゃったから片付けてなかったかも…


『…キヨ兄ごめん。少しここで待ってて』


キヨ 「…ん？良いけど、何で？」


『…いやぁ、ちょっと、ね』


私がリビングに続くドアから顔だけ出して苦笑いすると、キヨ兄が意地の悪そうな笑みを浮かべた。


キヨ 「あ、お前…さては部屋汚ぇんだな？」


『は！？…そ、んなことないし！』


キヨ 「んじゃ、入っちゃいけねぇ理由はなんだよ」


『え。そ、それは…』


キヨ 「ほらな〜、そうなんだろー？」


『う、うるさいっ！とにかく入ってこないで！』


なんだか、前みたいな関係に戻れたみたいで良かったような良くないような。

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