叶わない46 ページ11
とぼとぼと、俯きながら帰路につく。
もう何も考えたくない。
なんて言いつつもさっきのあの部屋にあったものがどうも頭をチラついて、嫌でも考えてしまう。
無造作にころんと転がっていた髪留め。
何だかすごく生々しくて、また涙が溢れた。
あの居心地のいい部屋に、彼女さんは上がれるんだ。
髪留めを外したってことは、そういう関係にもなってるってこと…？
あの綺麗な指で、どう触れたんだろう。
キヨ兄はどんな風に、愛を囁くんだろう。
『……っ、！』
一際大きな涙の波が来て、ぶわりと涙が溢れる。
『…もう、やだ……』
キヨ兄には怒られるし、キヨ兄に彼女がいる証拠見つけちゃうし。もう、散々だ。
__________
倫音 「A、泣いたの？メイクで上手く隠してても私にはバレバレなんだけど」
『…さ、流石倫音…』
今は倫音との定例女子会で一緒に出かけてる。
そして、こういう時にも彼からのメッセージは止まらない。
倫音 「ねぇ、さっきから通知来すぎでしょ。なに、迷惑メールにでも引っかかった？」
ごめん、倫音……と、思いながらため息をつく。
『最近知り合った友達。メッセージ送りまくってくるの』
倫音 「うわ、今どきそんな人いるんだ…」
倫音がコーヒーを飲みながらそう言う。
私は、これが男だと知れたら倫音はどんな反応するだろうと内心気が気でない。
と、そんな私に気付いたのか真逆！と言いながらコーヒーを置く倫音。
倫音 「もしかして男なの、A！」
『…う、うん…』
倫音 「はぁ？有り得ない、あんたお兄さん一筋だったじゃん！何してんの男と連絡なんて」
てか、男も男よ！執拗い男は嫌われるって決まってんの！なんても付け足して、倫音は言った。
いやいや、全くもってその通りなんだけど。
『……でもさ、お兄に彼女いるの分かっちゃったんだよね。部屋のリビングに、可愛い髪留め転がってたの』
へらっと笑いながらそう言う。
やっぱ堪えるなぁ……心痛い。
倫音 「A…」
『彼女をこの目で見たら諦めようって決めてたの。でも、髪留め転がってるの見たら、もうなんか色々わかんなくなって…』
また鼻の奥がツンとする。
頭を振って、涙を追い払うと倫音がずばりと言い切った。
倫音 「…そんなに傷付くんならさ、聞いてみなよ。彼女さんどんな人か」
そして、その男には気を付けろなんて釘を刺された。何でだろ。
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蘇澳(プロフ) - りぃ@l」ω=さん» コメントありがとうございます！そう言っていただけてとても励みになりました^^*更新頑張りますのでこれからも末永くよろしくお願いします！ (2020年3月2日 21時) (
レス) id: e4a4be21c3 (このIDを非表示/違反報告)
りぃ@l」ω=(プロフ) - 一気に読ませていただきました！すっごく面白いですー！キヨさんのこと、もっと好きになっちゃった…笑これからも投稿楽しみにしてますね！早く続き読みたいー (2020年3月2日 21時) (レス) id: b3c6beb7e3 (このIDを非表示/違反報告)
蘇澳(プロフ) - しまちゃんさん» コメントありがとうございます！いつも皆さんに楽しんでもらえているか心配だったので良かったです！更新は変わらず遅いかと思いますが定期的に行うようにしますので、これからもよろしくお願いします！いつも読んでいただいてありがとうございます！ (2020年2月29日 22時) (レス) id: e4a4be21c3 (このIDを非表示/違反報告)
しまちゃん(プロフ) - 初めて感想失礼します！楽しく読ませて頂いてます！次どんな展開になるのか楽しみで毎度読むのにワクワクしてます！待ち遠しくて最初から何回か読み返したりしました、、！ご無理のないよう、素敵な小説更新するの楽しみにしてます！ (2020年2月29日 20時) (レス) id: d2a5bc168d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蘇澳 | 作成日時：2020年2月13日 20時
