親戚の子 ―2―

可愛い妹13 ページ10

Aががたがたと音を立てて玄関から出ていく姿をぼうっと見つめる。


こりゃ、派手に嫌われたかな。
でもちょうどいいか、なんて思ってしまう。


『……っ』


あの時、Aが他の男といるのを見た時から薄々勘づいてた。


あの小さな肩の隣に居るのは、俺が良いって。

あの照れ笑いを見るのは、俺だけが良いって。



『馬鹿かよ、俺…』


ぐしゃぐしゃと頭をかく。

こんなに年の離れてる奴にこんなこと思うなんて。
どうやったって叶わねぇのに。


親戚って、なんて面倒な距離なんだよ。

まだ、年が近かったら望みはあったのかも。


なんてったって俺はあいつに兄ちゃんとしか思われてない訳で。俺のあいつの見方が変わっても、逆は絶対有り得ねぇ。


つい最近まではそれが嬉しかったのに。
それだけで良いと思ってたのに、いつの間に欲張りになったんだ俺。



『…、』


こんな柄にも無いこと悶々と考え込んじまう程、俺はAに惹かれてんだ。



_______


フジ 「うわっ、今日はいつにも増してテンション低くない…？」


指定した時間からかなり遅れた頃にフジはやって来た。

そりゃな。こちとら失恋した後だからな。


『遅せぇよ、早く動画とんぞ』


フジ 「うぇ…？まぁ、はい」


するとフジがAが持ってきたダンボールに視線を向ける。


フジ 「これ、Aちゃん？…ほんと良い子だよねぇ、可愛いし」


がさがさと中を漁りながらフジがそう呟く。
んな事知ってるわ。あいつが優しくて可愛いことなんてお前より。


『……』


フジ 「…何、Aちゃん絡みでそうなってんの」


『…うっせ』


フジ 「そうなんじゃん…何あったの」


フジのことだ。後で面倒になるだろうと、色々と掻い摘んで話してみる。


『Aに彼氏いんのかも…』


と、フジに言ってみるとフジは少し笑って何かブツブツと話している。


フジ 「…Aちゃんに彼氏なんて居るわけないじゃん。Aちゃんずっと前から好きな人いるのに」


そんな不穏な言葉が聞こえて、はぁ？と叫ぶ。


『どういう事だよ！』


フジ 「でも、そんなにAちゃんの彼氏事情に敏感ってことは……もしかしてキヨ！」


はっと口を押えて俺をにやにやと見るフジ。
うぜぇー、気付いたくせに。


『…そうだよ、そういうことだよ！』


でも、あいつには彼氏がいるって言うし…。


そう弱音を吐くと、フジは呆れながらため息をついた。

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