親戚の子 ―2―

叶わない39 ページ1

『…ぇ？』


一瞬、キヨ兄が何を言っているのか分からなくなった。

本当に、何を言ったの。キヨ兄。


キヨ 「言った通り、今日はずっとお前を見てた。いつもと違うお前が見れて良かった。…うっしーと歌ってる時、すげぇ楽しそうだったし。それに色んな相談にも乗ってもらってたんだろ」


だから、私がうっしーさんのことを好きだと？

あなたが、それを言うの。


私は今まで、キヨ兄が言ったそんな事よりずっと脈アリな行動を、キヨ兄にやって来たのに？

それには気付かないの？


キヨ 「お前が肯定すんなら、応援するぞ」


俺の可愛い妹だし。


キヨ兄はそうも付け足して言った。


私の頭の中はもうぐちゃぐちゃになっていて、キヨ兄への素直な憤りと、どうして分かってくれないのという悲しさが入り交じっていた。


『…ばか、どうしてそこまで私の気持ちが分からないの。…いつ、私がうっしーさんを好きだと言ったの……！』


いつの間にかキヨ兄の胸ぐらを掴んでいた。

イベントのための高そうな服に皺を作った。


キヨ 「…A…？」


キヨ兄はなぜ私が怒ったのか分かっていないようで、慌てた様子を見せた。


『…キヨ兄の、ばか……鈍感…』


私の目からは涙がぼろぼろと溢れて止まらない。

キヨ兄はそんな私の頭をぽんぽんと撫でて、そっと抱き締めた。


キヨ 「…ごめん、悪かった。面白くなかったんだよ、お前は俺の妹なのに、最近うっしーに随分懐いてたから…」


キヨ兄は落ち込んだような声で、そう呟いていた。少し照れているようにも聞こえた。


『…もう一回、今日みたいにだれだれが好きなのかって聞いたら、キヨ兄のパソコン壊すから』

マジなトーンでそう言ってやるとキヨ兄は怯えたように私を見た。


キヨ 「うわ、それはやべぇな」


『本気だからね』


そして二人して笑う。


……勢いで告白したら良かったかな。

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