叶わない5 ページ5
私の胸には何か刺さったまま、身体がひょいと浮く感覚がして、気付けばキヨ兄にお姫様抱っこされていた。
キヨ 「流石に大きくなったお前を抱っこはムズいからこれな」
またこうしてキヨ兄に抱っこされるのは嬉しいはずなのにさっきの言葉が私を邪魔している。
『っ…みんな見てるでしょ！降ろしてよ、』
キヨ 「照れてんのか〜？ちっちゃい頃は俺の後ろ着いてまわってたのに」
また、小さい頃の私。
仕方ないって分かってる、キヨ兄には小さい頃の私ばかりが写ってるって。
だって、私が他人に唯一勝るのは小さい頃の私しか居ないから。
キヨ兄にとって私は、親戚の可愛い妹でしか無い。
それが私を押し付けて、離さない。
その他、その先の関係になる事は決して許してくれない。
その事実に頭がどんどん重くなっていく。
キヨ 「どうした、お前具合悪いのか？」
キヨ兄の優しい声に、なんだかぐらぐらしていた視界が少し開けて、大丈夫と首を振った。
キヨ 「典子おばさん！A具合悪いっぽい！」
キヨ兄のよく通る声が聞こえたと思えば、ぐらぐらと視界が揺れ始め、そのまま意識を飛ばしてしまった。
_______
『…ん、』
一階のリビングで大人数が騒ぐ声が聞こえて、ふっと目を覚ます。
のそりと起きてみると私の部屋のベッドへ寝ていて、いつの間にか夜になっていた事に気付く。
『…誰も居ない、か…』
私は一人で目覚め、他の皆は宴会して騒いでいると思うと少し寂しくて、素直に「おはよう」と言えない私がいる。
でもお腹すいたし、心配かけないためにも起きて行かなくちゃ…
ベッドから降りて部屋のドアに手を掛けた時、がらりとそのドアが開き見慣れたあの人が入って来る。
キヨ 「おう、起きてたか。目ぇ覚めた時居てやれなくてごめんな」
私の心を読んだようなキヨ兄のその言葉に鼻がツンとして、思わず目の前の胸に抱きついた。
『…ごめんねキヨ兄…』
キヨ 「何がだよ」
何も言わず私の髪を優しく撫でてくれるキヨ兄。
あぁ、やっぱり好きだなぁ。
叶わないけど。
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蘇澳(プロフ) - けろさん» コメントありがとうございます！とても励みになりました！お目に入れて頂き光栄です！これからも更新がんぱりますので宜しくお願いします^^ (2019年8月30日 16時) (
レス) id: e4a4be21c3 (このIDを非表示/違反報告)
けろ(プロフ) - 初めまして！毎回更新を楽しみにしています(^^)居候生活編も楽しみに待ってます笑小説書くのは大変だと思いますが応援しています！ (2019年8月30日 12時) (レス) id: 2aaeade905 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蘇澳 | 作成日時：2019年8月12日 23時
