叶わない32 ページ41
北海道のお母さんから野菜やらなんやらの荷物が多めに届いた。その後電話が来て、キヨくんにも分けてねなんて言われた。
キヨ兄を諦めろなんて言ったくせに部屋に行かせるの?と思うところがあったので、はいはいと適当に返事をして切った。
でも確かに最近会ってないし、顔も見てない。
まぁ、見ないようにしてたんだけど。
でも、ちゃんとご飯食べてるのか、ちゃんと生活してるのか心配になって見に行ってみる事にした。
うっしーさんにも見に行ってやれなんて言われたし。
一応お母さんから届いた食材も少し持っていくことにして、学校から帰った後キヨ兄の家へ行く決心を付けた。
______
久しぶりにキヨ兄の部屋のドアの前に立つ。
連絡もせずに来てしまったけど大丈夫かな。
そうだ、キヨ兄には彼女さんがいたんだった……
あれから1ヶ月くらい経ってしまってたし、あまり考えないようにしていたから忘れてた…。
『…やっぱり、帰ろうかな…』
いたらいたですごく気まずいし、キヨ兄に迷惑かける。
居なかったらいなかったで彼女さんにとっては、知らない女が出入りしてることになる。
私のその弱気な気持ちに呼応して足が帰路につこうとした時、
“あいつ、生活リズム戻ったと思うし”
うっしーさんのその言葉が頭に浮かぶ。
生活リズム戻ったってことは、またあの体に悪い生活してるってことだ。
キヨ兄が体調崩してるんだったら見過ごせない。
彼女さんがいるからとか関係ない。
そう理由付けて、インターフォンを押す。
キヨ兄が倒れていたらどうしよう、そう焦る心が早く出てと言っている。
しかし、数分待てども目の前のドアが開くことは無く、心はどくどくと脈打っていく。
『彼女さんとそういう雰囲気だったらすぐ出てく。先に謝っときます、ごめんなさい』
早口でそう言うと、返せずにいた合鍵を使ってドアを開けた。
『お邪魔します!』
部屋の中に入ってみると中は怖いほど静かだった。
本当にここに誰か住んでいるのかと言うほど生活感がない部屋だった。
彼女さんはこういう所に気が回らない人なのかもしれない。
それか、部屋に入れていないのか。
自分でそう推理した心がずくりと痛んだが、知らんぷりした。
あまり足音を立てないようにそろりとキヨ兄の寝室へ向かう。
『…キヨ兄、Aです』
そう言いながらガラス戸をからりと開ける。
私が思い浮かべた最悪の状況がそこにはあった。
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蘇澳(プロフ) - けろさん» コメントありがとうございます!とても励みになりました!お目に入れて頂き光栄です!これからも更新がんぱりますので宜しくお願いします^^ (2019年8月30日 16時) (レス) id: e4a4be21c3 (このIDを非表示/違反報告)
けろ(プロフ) - 初めまして!毎回更新を楽しみにしています(^^)居候生活編も楽しみに待ってます笑小説書くのは大変だと思いますが応援しています! (2019年8月30日 12時) (レス) id: 2aaeade905 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蘇澳 | 作成日時:2019年8月12日 23時