いない ページ10
Aside
天気に恵まれず、この日は雨が降って練習が中止になった。
宿舎の入り口で雨宿りをしながらずぶ濡れになったジャージを絞る。
「ゴス………明日人と一星くんどこ行っちゃったんでゴス」
「…………たしかに、ずっと連絡もないなんておかしいな」
「サボってんのか逃げ出したのか、別にほっときゃいいじゃねえか」
心配する岩戸先輩と風丸さんに、ヒロトは棘のある一言を浴びせる。
今日は朝からずっと光と稲森先輩の姿がなかった。
とても練習をサボるような二人とは思えない、岩戸先輩と風丸さんが心配するのもよく分かる。
「いや、放っておくわけにはいかない。これは事件だ！朝からこんな時間まで全く連絡も無く姿を消すなんて、何か不測の事態があったとしか思えない」
「………それさっき風丸くんが言ったけど」
唐突に探偵チックな推理をし始めた氷浦先輩に吹雪さんがツッコミを入れる。
「でも一体何があったっていうんだよ？」
「必ず解いてやるさ、ばあちゃんの名にかけて！」
「いやだから、君のばあちゃんは何者だよ」
プチ漫才のようなやり取りを横目に、強くなっていく雨足と共に心配の念も強くなっていく。
雷まで鳴り出して。
連絡がない…………つまりスマホやイレブンバンドが使えない状況、圏外とか？
圏外ならまだいいものの、犯罪に巻き込まれていたりしたら………………。
「めんどくせえ、一緒に部屋でサボろうぜ」
「賛成」
「ちょっ、ちょ」
灰崎とヒロトに無理矢理連れられてやってきたのは多目的スペース。
一足先にやって来ていた不動さんはこちらを見るなりニヤリと笑う。
「お前らもサボりか？探偵ごっこなんて付き合ってらんねぇよなぁ」
「ほんとだぜ」
「探偵ごっこは置いといて、心配じゃないんですか？」
不動さんはふぁあと欠伸をして答える。
「別に？アイツら無駄に生命力強そうだし何かあっても大丈夫だろ」
「…………あー、たしかに」
それぞれがスマホを弄り始めたので、私もスマホを取り出してニュース記事を見る。
すると、興味深い特集を組んでいる雑誌があって覗いて見た。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 50人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：るぴゃん x他1人 | 作成日時：2020年3月18日 8時
