ベテルギウスの泣く頃に。S (ページ48)

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呪縛と祝福ページ48

Noside

スタジアムが崩れ落ちるかもしれないという危機を乗り越え、未だ熱気が冷めない会場で一人ドス黒い感情に支配されている男がいた。

「愚女が……しくじりやがって」

憎しみがこもった瞳が見据える先は、最後の最後で己を裏切った可愛い可愛い一人娘。

「後悔させてやる」

洗脳も解け、仲間と無邪気に笑い合うAに銃口が向けられる。

「……っ、A！」

「死ね」

くぐもった銃声が二つとヒロトの声が響いた。

ヒロトの視界で鮮血が舞う。

「ぐ………う………」

「取り押さえろ！！！」

「少女は無事か！？」

腕から血を流しながら呻く柊真一を警察官が捕らえた。

「A！！！」

力なく崩れ落ちるAを支える。

「な、なに、が……」

事態を把握しきれていないAのユニフォームのズボン……腿の部分に真っ赤な液体が滲んでいる。

「少女は生きている！だが足に被弾したようだ、誰か担架を！」

「少年、少し離れろ」

ヒロトはAからあっさり引き剥がされ、駆けつけた警察でAは見えなくなってしまう。

Aの父は確かに頭を狙ったが、真一が発砲する前に警官が真一の腕めがけ発砲したことで手元が狂ったのだ。