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Noside
「＿＿＿＿！」
色の無かった目が揺れ、僅かな色が灯る。
「本当の、私……」
「そうだ。本当のAが心の奥で叫んでいることをそのまま教えろ。
一貫してAの目を真っ直ぐ見ていたヒロトは少し逸らす。照れくさそうに頭を掻きながら、
「俺たち、仲間だろ」
Aは目を見開いた。先程までの気迫は消え、呆然としたAを他所にヒロトとタイミングを見計らって上がっていたタツヤがゴール前へ進んでいく。
「焦ってヘマすんなよタツヤァ！」
「ああ、行くぞヒロト！」
タツヤが蹴りあげたボールを追ってヒロトとタツヤも飛び上がる。
空中で激しいパスを幾度と繰り返し、次第に大きな惑星のようなものを形成する。
「「コズミックブラスター！！」」
永世学園対雷門中で編み出された必殺技がオリオンのゴール目掛けて一直線。
「ブラックシールド！」
ここでオリオンのキーパー、プロキオンは初めて必殺技を使った。
無数の手がボールに掴みかかって包み込む。
「……なにっ」
プロキオンは顔をゆがめる。必殺技でコズミックブラスターの威力を殺しきることが出来なかった。
「ゴーーール！！！チョウキンウンズ、遂に一点を入れたー！！！」
実況の声でスタジアムは歓声の嵐に呑み込まれた。
「このまま一気に巻き返すぞ！」
「「「おう！！！」」」
「馬鹿な……勝利出来なければ私の存在価値はない……」
「ここで負けたら、父さんが……」
勢い付く世界代表と反比例するようにユリカとAの表情に絶望が見え隠れする。
ヒロトの台詞が脳裏を掠める。
「私の、本心……」
父の事情を抜きにした自分の本心。
自分の心の声に耳を傾けようと試みるが、施された洗脳がノイズとして邪魔して聞き取れない。
「少し持ち直した程度で勝てるとでも思っているのか？」
「なわけねぇだろ！俺たちの目を見てみろ、この試合が始まってからずっと……こちとら負ける気なんかねぇんだよ！」
ユリカと灰崎の繰り広げる応酬をただ眺めることしか出来ない。
「ベテルギウス！」
ユリカのパスを受け取るが、動くことが出来ない。
頭の中で様々な考えが散乱していて混乱する。
「わ、私は……！」
「クソっ」
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作者名：るぴゃん x他1人 | 作成日時：2020年3月18日 8時
