ベテルギウスの泣く頃に。S (ページ42)

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Noside

世界代表は圧倒的な速攻に怯まず、冷静に向かっていった。

「鬼道さん、行きますよ！」

「ああ」

日本が誇るゲームメイカーたちが組み立てた華麗な連携で世界代表はオリオンを出し抜くことに成功、技術で劣っている相手にここまでの連携を築けるのは素晴らしいことだった。

美しく繋がれたボールはゴール前で豪炎寺に渡り、豪炎寺はあの神業を放った。

「ラストリゾート！」

だが、オリオンのゴールキーパーはやはり動かない。

代わりにローブの選手が恐ろしい速さで自陣を駆け抜けていた。

ラストリゾートが到達する間際、ゴール前にすべりこんだローブの選手。

「アンジュ・デジュ・シールド」

堕天使のような漆黒の翼が広がり、ボールを包み込む。

羽根に優しく包まれたボールは勢いを殺され、ゴールネットを揺らすことは叶わなかった。

日本のエースストライカーが放った、一時は世界を激震させた神業をディフェンダーでもない選手の必殺技で簡単に止めてしまった。

「行け、ベテルギウス」

「……ベテルギウス、だと？」

ユリカがローブの選手に指示すると、ローブの選手……ベテルギウスは己が止めたボールを持って敵陣へ突っ込んだ。

そして、なんと敵陣の中央でシュート体勢に入った。

堕天使の翼が再びベテルギウスに力を貸し、虚空に羽ばたく。

「アンジュ・デジュ・ブレイク」

ボールにもベテルギウスと同じような翼が生えて破裂するのではないかと思うほどの強い力で蹴られる。

円堂はそのボールを正確に捉えたものの、一歩及ばずシュートを許した。

「ユリカとベテルギウスは素晴らしいコンビだ。あの二人が揃っていれば我々が負けることなどありえない」

明日人の偽の父役として暗躍していたウラジミールは薄ら笑いを浮かべた。