ベテルギウスの泣く頃に。S (ページ32)

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帰還ページ32

ヒロトside

風呂を終え、部屋に向かう途中フロントを通る。

スマートフォンを弄りながら口笛を吹き歩いているとキィ………と音がして顔を上げる。

「誰だ」

ゆっくりと開く扉を睨みつけるが、現れた相手に目を見開いた。

「………ひ、ろと…………？」

掠れた声で名前を呼ぶAはボロボロで、あちらこちらに痣があって、青白い顔をしていた。

「おっまえ……………どうしたんだ！？大丈夫か！？」

と声に出しつつも、大丈夫では無い事くらい瞬時に把握していた。

「いや何も言わなくていい、とりあえずマネージャーのとこに連れてくか」

Aの脇と膝裏に腕を潜らせて抱き上げると、思っていたよりも簡単に持ち上がった。

思うこと、言いたいこと、聞きたいこと…………山積みだが今は何も考えるな。と自分に言い聞かせる。

「ヒロトさんどうしたんですか…………ってええ！？大変、すぐ救護室に！」

救護室に運び込むとすぐにセキヤさんがやって来て、Aを調べ始める。そうしているうちに、ガヤガヤと聞きつけた奴らが集まってきて夜だって言うのに大混乱だ。