中国戦 ページ14
Aside
オリオンの件…………諦めた、と光には言ったが実際にはそうではない。
寧ろ私がオリオンに行くことは希望ですらあった。
私が家族を取り戻す、最後の希望。
「奪えるもんなら奪ってみな、この豚野郎共」
「豚野郎共…………！？」
と困惑気味の稲森先輩の声で現実にもどる。
サッカー雑技団の異名を持つ中国代表はなんと、手を地に着き逆立ちでボールをキープして日本を翻弄していた。
かと思うと今度はキーパー以外の全員が上がってきて、組体操のような体勢を作る。
「万里の長城！」
日本のゴール前に、高くそびえ立つ壁が出現して圧倒される。あれほど大規模な技、タクティクスにも匹敵する規模だ。
そのままエースのハオは、円堂さんの風神雷神ゴーストの弱点を突いて点を決める。
さすがは長い間日本に入り込み、堂々としたスパイ活動をしていただけの事はある。
試合が再開され、灰崎にヒロト、タツヤと日本の前衛ラインが次々と突破されていく。
私の前までやってきたハオは足を止めてこちらを見る。
「柊A、お前のフォワード顔負けのキック力と流れを変える能力には要注意だ。だが………」
口角を上げ、勢い良く突っ込んでくる。その動きはとても素早いが、対応出来ないほどでは
「肉弾戦には弱い！」
私と変わらないか、それ以下くらいの小柄な体の持ち主だというのにパワーは圧倒的だった。
軽く吹き飛ばされた私はよろよろと数歩後ろに下がる。
中国はただでさえ実力を有しているチーム。それに加えてこちらの弱点を全て把握している。
「不利………と言わざるを得ない」
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作者名：るぴゃん x他1人 | 作成日時：2020年3月18日 8時
