救い ページ1
Aside
「一星！」
キックオフ早々、ボールは一星に回る。
覚束無い足取りで、頭を抱えながらも一星はスライディングを避けてボールをキープする。
幸い、今は日本が点をリードしているしゴールは円堂さんが守ってくれている。チームの心の余裕はそこそこあるだろう。
一星が何度ボールを奪われても取り返し、一星に回して奪われないように全力で守る。
「しまった………」
敵が私を抜いて、一星に近づいて行く。奪われてしまう……………！
しかし一星は、そんな心配は瞬時に蹴散らして見事なボール捌きで駆け抜ける。
「一星…………」
名前を呼び掛けると、私を振り返り�牋貔姥��瓩肋个Α�
一星はその後、一人で敵陣を駆けていく。その表情は何処か清々しくて、見てるこちらの心も洗礼されるようだった。
ゴール前で灰崎にパス、ペンギン･ザ･ゴッド＆デビルがラストを飾り、日本は２対０で接戦を勝した。
今までで一番、嬉しい勝利だった。サッカー歴は１ヶ月前後くらいだけども。
「光…………！」
「A、ありがとう」
胸が一杯になっていき、どんなに我慢しようと思っても涙が自然と零れ落ちていく。
やがてその涙はとどまることを知らない、というくらい出てきて拭っても拭っても涙が止まらない。
雨粒のように大きな粒の涙を流していると、光が近寄ってきて、そっと抱き締めてくれた。
いつの間にか自分よりも背丈が大きくなっていた幼なじみの胸で、涙を流し続ける。
「良かった………光……………」
「沢山迷惑と心配かけてごめん」
「そんなの気にしないで」
ようやく涙が収まってきて、顔を上げて微笑みかける。
光は私の頬にある擦り傷をそっと撫でる。
「………俺のせいで」
「こんな掠り傷なんてこと」
そっと光は今しがた撫でていた擦り傷に口付けをした。
「………………これで治るといいけど」
自分でやっておいて今更恥ずかしさが込み上げてきたのか、頬を紅潮させ、口元を抑えて目を逸らしながら言う。
「えっ、あ、そうだね」
「…………アイツらできてんのか？」
「幼なじみにしても距離近すぎるよな」
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作者名：るぴゃん x他1人 | 作成日時：2020年3月18日 8時
