掴み取れるものならば【ヒロアカ】 (ページ3)

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三話ページ3

ホークスside

まただ。

また大勢の記者が死んだ。

昨夜から行方不明の各企業に勤める記者の人数は約二十七人。全員が全く同じバーへと足を踏み込んだことまでは分かっているが、そこから先は何も進展がない。

ここしばらくの間で随分と増えたこの事件。

数年前から始まったこれは、初めこそ年に数人だったが最近は数十人が一度に失踪してしまう事が頻繁に起きている。公安も流石に警察やヒーローのみに手を回しているばかりではいけない、そう思ったのだろう。
俺を通して手を回してくる始末だ。

(しかしこんな頻度でこの人数…あまりにも多い。しかもやられたのは全員が記者ばかり)

確実に同一犯であることは分かるのだが、いかんせん記者を狙う理由がわからない。何かを取材しに彼らはあのバーへと集まった。けれど、相手は不明だし、一番の問題はバーがいつも閉まっていること。

いつ開くのかは襲う犯人次第。

そう言わんばかりの開店頻度に呆れるしかなかった。

「手がかりはこれ以上ないんですか」

「ええ」

「海外でもこの手の事件は起きてると」

黙り込んだ会長の様子から察するにおそらく海外にも同一犯がいるのだろう。ということはつまり…

「これは組織による犯罪ということですね」

ため息をつく会長と側近は静かに視線を下げ、または背後の大きな窓へと外す。薄汚い大人の集まりとはいえ、こういうところだけは幼い子供だと言われてもおかしくないのはどうかと思う。まぁ仕方がない。

だって大人だから

その一言でどうにかなる。大人とは本当に、ずるくて、薄汚く、浅はかで、愚かで、そして何よりも知能がある生物だ。
年若いとはいえ、俺も大人に部類される。
あと十年ほどしたら目の前のくだらない連中の仲間入りさ。
目を逸らし続ける二人に痺れを切らして、こちらから情報はあるのかと問いかける。

まぁ期待はしてないが。

「正直に言って、一つもない」

(ほらね)
「目撃の証言さえも？」

「ええそうよ。まず例の店がどこにあるのかさえ判明していない。調査は困難を極めるわ」

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