琥珀色の夢 2nd season 【キングダム】

＊76 ページ30

「蒙驁将軍、お久しぶりです。相変わらずで何よりです」

私は第一に攻める高狼城付近につくや否や、すぐさま昔からの顔なじみである蒙驁将軍の元へと挨拶しに行った。

「フォッフォッフォッ、久しぶりじゃのう、Aや。こんなに大きくなって.......。昔のように 爺ちゃん、と呼んでもらっても構わんのじゃぞ」

「いえ、それはさすがに.......」

「こら、遠慮するでない」

フォッフォッフォッ、と笑う蒙驁将軍に私は苦笑いする。

さすがに戦地で、しかも蒙驁将軍の部下のいる前で 爺ちゃんなんて呼べない。

昔、よく恬と共にお菓子をねだりに行った。
蒙驁将軍はその時は決まって、たくさんのお菓子を用意して置いてくれたのだった。


「本当ならここに蒙毅もつれて来るはずだったのですが」

「いかん。毅はまだ幼すぎる」

「.......ですよね」

言うと思った。

本当なら、私の付き人として、勉強のために戦場を観察させようと蒙毅を連れてくるはずだったのだ。

しかし、蒙驁将軍は過保護で有名だ。
当然連れてこれるわけがなかった。

恬も本当なら千人将になっていてもおかしくないのに、蒙驁将軍に止められている。

仕方が無いので、私一人で来た。

「すいません、そちらから一人貸して貰えませんか？私の護衛が欲しいのですけれど」

そこそこ弓矢が出来るとはいえ、接近戦では使えない。
それに、こんな所でおちおち死んでられないし、念の為だ。

「うーむ、そうじゃのう。腕のいい剣士となると.......」

「いや、本当に誰でもいいのです。別に、腕が良くなくてもいいので.......」

「ならん。お主はこの軍全体の頭脳じゃ。それに、わしはお主の命を預かっている身でもある」

「はぁ、」

少しキツい口調で言う蒙驁将軍に私は肩を竦める。

その時、恬の天真爛漫な声が聞こえて、後ろを振り向いた。

「あれ、じいち.....、蒙驁将軍とAじゃん」

すこし背が伸びたのだろうか？
久しぶりに会う幼なじみが なんだか眩しすぎて、私は目を狭めた。

「おお、恬や。ちょうど良かった。護衛も兼ねてAを楽華隊に置いてやってほしいのじゃが」

フォッフォッフォッと笑う蒙驁将軍に恬は軽いノリで、いいよ、と返事をする。

「は！？いやいや、ちょっと待ってください」

何言ってくれてるんだ。

あくまで私は蒙驁軍の軍師だ。
自由に動き回りたいし、楽華にいては何かと不便になる。

＊77→←＊75

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す