異世界転生のお決まりの展開で、なぜか審神者になっちゃった話。 (ページ4)

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審神者1 ページ4

必死にたえて、しばらくすると、徐々に風がやみじめた。
顔にはりついた花びらをパバパっと払って、やっと目が開けられるようになって、その異常な状態に気づいた。

水瀬ひなこ「え……」

そこには親友千早の後ろ姿はない。というか、校門も空もなにもかにもがない。
あるは、完全に“無”の世界だけだった。
どこをみても真っ白で、見慣れた道も建物もなにもみつけられない。
私が今前を歩いているのか、後ろをあるいているのかさえも全くわからなかった。
　
おもわず、後ずさりをしてしまう。ふらついて、尻もちをついてしまった。
その時、尻もちをついたところが、静かに水面に弧を描くように、広がって、消えた。

水？
でも触れてもなにも掬えない。
空気に触れたように、ふわっと手が通り抜けるだけだ。

突然のことに、頭が働くなって、ただ地面らしきところを見つめるしかできなくなっていたとき、

？「はじめまして!審神者様!」

いきなり、右頬から、モフモフとしたものがひょこっと飛び出してきた。

水瀬ひなこ「っうわああ!?」

驚いて声をあげると、そのモフモフは平然とぴょいと私の肩からおり、私の方へ向き直った。

？「いやはや、驚かせてしまい、大変申し訳ありません!ワタクシ、こんのすけと申します。なにとぞお見知りおきを。」

こんのすけというそのモフモフは、見た目のゆるさに反して、それは丁寧な口調で流暢に話した。
この異常な状態に、そのフィルムが合わなくて、ちょっと怖くなった。
本能なのだろうか、このこんのすけとやらが、やばいやつだということは瞬時に察した。

水瀬ひなこ「あなた、だれ?」
こんのすけ「ですから、こんのすけと先ほどもうし…。」
水瀬ひなこ「いやそうじゃなくて、何者？って意味。」
　
私はこんのすけの言葉を遮る。

するとこんのすけは、ああ。とうなずくと、

こんのすけ「ワタクシは、時の政府から派遣され、今後審神者様のサポートをすることになった者でございます。」
水瀬ひなこ「サポート？」
こんのすけ「ええ、左様でございます。」

と淡々と答える。

サニワ? トキノセイフ? 聞き慣れない言葉に、この狐がなにを言ってるのか全く理解できない。
　
水瀬ひなこ「ねえ、サニワってなあに?というか、ここ、どこなの？どういう状況なの?」
　
質問をたたみかけると、こんのすけはそう尋ねてくるのがわかっていたかのように、落ち着き払った様子で一つ一つ説明をし始めた。