出陣1 ページ26
薬研を顕現させ、加州に後のことを任せた私は、すぐにまた新しい刀を顕現させようとした。
しかし、力を込めようと軽く力んだ時、ぐらりと視界が歪んだ。
流れるように体が傾き、気づけば私は布団の上で横たわっていた。
どういう状況なのかよくわからず、布団をかぶりながら頭の上にひたすら？マークを浮かべていると、スーッと障子が開き、加州が顔をのぞかせた。
加州「あ！！？主！！」
加州は目元をうっすら赤くして私を見ると、いそいそと部屋に入り、障子を閉めた。
加州「体は？無事?喋れそう？」
そういいながら私のおでこに手をあて、自分のおでこも触る。
加州「熱は…もう引いたみたいだ。」
水瀬ひなこ「別に体はなんともないよ。それより、これ、どういう状況?私、鍛刀部屋にいたはずだよね。」
加州「主は薬研を顕現させたあと、鍛刀部屋で倒れたんだ。すんごい熱だしてさ。昼時になっても出てこないから俺が見に行ったら案の定、部屋で倒れて気失ってたんだ。それから今日まで丸々2日も寝込んでたんだよ。」
水瀬ひなこ「2日も!？」
加州「うん。2日も。」
倒れた記憶はないけど、せいぜい数時間ちょっと眠ってただけかとおもってた。
それが丸々2日も眠ってたなんて…。
なんだか、タイムスリップしたみたいな気分だ。
驚きで呆けていると、加州はもってきたおぼんを私の前にずらす。
昔の人が使うような、小さい台の上に小さな鍋をのせると、布巾を使いながら蓋を開く。
すると、ふわりと優しいお出汁の香りと湯気が広がった。
水瀬ひなこ「わあ。おじやだ。卵入りの…」
匂いにつられて、お腹がぐう、と大きな音をたてた。
加州はその様子をみてクスリと笑うと、れんげを手に持ち、おじやを掬う。
フーフーと冷ますと、私の口元にそれを運んできた。
水瀬ひなこ「じ、自分で食べれるよ?」
お互いにお互いの存在がなれてきたとはいえ、あーんはちょっとさすがに恥ずかしい…。
加州「でも主、今体動かないと思うよ。」
水瀬ひなこ「そんなこと………ってあれ?」
すぐに体を動かそうとすると、不思議。
まるで今はじめて体を動かしたかのように、全身がプルプルと固まってしまっている。
激しい筋肉痛になったみたいだ。
れんげを掴もうにも、震えて手から滑ってしまいそうだ。
水瀬ひなこ「え？え？なんで？？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 5人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：PANANA | 作成日時：2020年12月19日 8時
