漢気溢れる男の子2 ページ24
___その後、加州お手製の朝食をたべた私は、鍛刀部屋にきていた。
新しい刀剣男士を増やしにきたのだ。
この本丸を維持するのに加州と二人だけでは無理だ。それに、後の戦いに備えて戦力を確保しなくてはならない。
こんのすけによると、早くとも3日後には時の政府から出陣の要請がでるらしい。
あまり時間はない。
__私は人を模した紙を持ち、こんのすけに朝食時説明されたように、一点に力を込める。
すると、ひょろひょろと小さな光が渦を描くように集まってきた。
(中心に中心に……)
けれど光は右にそれたり左にそれたり……
中々真ん中に落ちてくれない。
精神が少しでもぶれたらすぐそれてしまう。
水瀬ひなこ「ぬぅぅぅぅ！！」
額に汗が伝う。
ぐぐぐ…っと体全体に力が入る。
光はブブッと何度もブレたものの、ついに紙の中に溶けるように消えた。
すると紙の中心に"審"という一文字が浮かび上がる。
昨日みた紙とおんなじだ。
私は大きく息を吐き、額の汗をぬぐう。
水瀬ひなこ「って、あれ。」
ふと視線を向ければ、そこにはさっきまでなかったはずの刀が、ちょんと置かれていた。
見たところ、加州の刀よりずっと小さい。
(紙ができたら、刀が自動で用意されるのか…)
魔法みたい。
そう感心しながらさっそく私は紙を刀にそっとのせた。
水瀬ひなこ「うっ。」
紙が刀に触れた途端、凄まじい光があふれる。
光がだんだんと弱くなっていき、腕をゆっくりとおろすと、桜の花びらがハラリハラリと落ちていく。
水瀬ひなこ「さくら…」
？「よお。」
指先のさくらに視線を奪われてたら、頭上からいきなり声がして驚いた。
小さな悲鳴をあげてしまいながら、見上げると…
？「はじめましてだなあ、大将。」
と黒髪の美青年はしゃがみこんできた。
そして私の髪についた花びらを片手でパッパッと払う。
薬研「俺の名前は薬研藤四郎。他の兄弟ともどもよろしく頼むぜ。」
そう爽やかな笑みをたたえた。
水瀬ひなこ「は、はあ…」
私はというと、放心状態だ。
たった一回顕現を経験しただけではまだ慣れないらしい。
薬研「おっと、大将、口が開いたままだぜ。」
薬研は私のあけたままの口をふさぐ。
それでハッと我に返り、わたわたと急いで立ち上がった。
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作者名：PANANA | 作成日時：2020年12月19日 8時
