異世界転生のお決まりの展開で、なぜか審神者になっちゃった話。 (ページ22)

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人一年生11 ページ22

こんのすけに昼間案内された大部屋に戻ると、だだっ広い部屋に、ちょこんと2つの布団がひかれていた。
　
一つには加州がうつ伏せになっていた。

気分が悪いのかと驚いて、急いで駆けつけたが、ただ眠っていただけだった。

すーすーと寝息を立てて、気持ち良さそうに眠っている。

(やっぱり加州も疲れてたんだな)

そんなことをおもいながら、私も隣の布団に腰をおろす。

加州の髪がまだ濡れてるのに気づいて、私は持っていたタオルで傷まないよう、やさしく髪を拭いた。

ある程度乾いたのを確認して、加州にやわらかい掛け布団をそっとかける。

加州「…ん……。」

その時、加州は身じろぎをして、眠たそうに目を薄くひらいた。

加州「…主…。」

水瀬ひなこ「あ、ごめんね。起こしちゃって…」

私が謝ると、加州はそのままじっと私をみつめた。

加州「あのさ…。」

するとかろうじて聞こえる小さな声をだした。

加州「俺…主のこと…絶対、守るか…ら…」

そうつぶやいた。

水瀬ひなこ「…………。」

ほどなくして、また加州はすーすーと寝息を立て始めた。

("守る"………)

その言葉が胸に力強く残った。

　
風でゆれているのか、どこからかサラサラと草のすれるおとが優しく響く。

小さな行灯のオレンジ色の光がほのかに部屋を照らす。

「守る、かあ…」

すやすやと眠る加州の寝顔を見て、なんだか私は、涙が出そうになった。

　

　