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あったかい手 Ki ページ9

今日は
夜遅くになってもひろが帰ってこなかった


特段珍しいことでもないので、
先にベットに入り寝ていた私。



だが、ガチャっという寝室のドアが開く音で

ふと目が覚めた。


重たいまぶたに逆らいながら、横向きになって
壁にかけてある時計をみると、夜中の2時をさしている。



(…ひろ…帰ってきた…?)



ボーとする頭でそんなことを考えていると、


後ろでモゾモゾと何かが動き、
背中に暖かくて大きいものが密着してくる。


それと同時にお腹のところに腕が回され、
引き寄せられた。



「ん、え?…ひ、ろ?」



まぁ、匂いとか絶対にひろなんだけど
一応聞いてみた。

すると、返事は帰ってこず

ただただ私に密着してくる。モゾモゾと。



「…おかえり。」



寝起きの掠れた声で小さく呟くが、
やっぱり返事は帰ってこない。


そのかわり、私のうなじにひろの浅い呼吸があたってる。


甘えてくるなんて珍しい。


疲れてるのかな…


ちょっと汗の匂いもするし、ずっとリハーサル
してたのかもしれない。




「お疲れ様。」




「…ん。」



小さくて、掠れた低い声。



ひろの腕にまた少し力が入った。かと思うと、


「うわッちょ、」



私のパジャマの中にひろの手が入ってきた。

直で感じる手のぬくもり。


急なことに心臓はバクバク。




ずっと私のお腹を撫でているのがくすぐったい。




でも、ひろの手のぬくもりがお腹に伝わってあったかい。


(湯たんぽみたい…)




「ひろ…はずかし、から。」



「…いーじゃん、…A触ってたい…」




甘い声で子供みたいな事を言う。


でも、今日くらいは許してやろうかなって気にさせるのがひろの得意技。



しばらく経ってもなお、ひろの手は止まらない。


私は寝れるはずもなく、後ろのこいつが寝るのをひたすら待ってる。お腹を撫でられながら。



すると、

不意に一瞬、お腹をかるーくつままれた。



やめろ。

デブがバレる〜っ



「…ふふふッ」



後ろでひろの笑い声が響く。

うなじにその時の息がかかって体がピクッと反応した。



「A」



「なに。。。」



「……プニプニ。」




激しくイラッときた私は後ろを振り返る。



「うっさいな!寝ろ!」




「あぁぁッ!」



後ろには、幸せそうに笑ってるひろ。



そんなの見たら、こっちまで笑顔になっちゃうじゃん。


うん、やっぱりひろの笑顔が大好きだっ!

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作者名:のりんご | 作成日時:2019年2月14日 22時

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