私の仕事は声優業【下野 紘】

１０話目 ページ11

ガチャっと扉が開き、噂をすれば…とよく言ったもんだ。

紘「あれ、那月も今終わり？」

「うん。さっき終わったとこ」

紘「じゃぁ一緒に帰ろ」

「そー思って待ってた！」

立ち上がり、手荷物を肩から下げると二人に挨拶を交わして、楽屋を後にした。


紘「今日、夕飯どうしよっか？」

「なに食べたい？」

紘「ちょい寒いから鍋の気分」

「鍋かー。じゃぁスーパー寄っていい？」

紘「いいよ」


下野さんと付き合ってからすぐに、私たちは同棲した
一緒に朝起きて、仕事に出て、夕飯も一緒っていうのは、仕事の都合上あまり多くないけど…

でも、そのルーティーンを一人で過ごしていた私には、これ以上無い幸せだった


紘「どした？甘いものも買う？」

「買う！あとお酒！」

紘「酒もかよw」


その時、ふいに梶さんの言っていた言葉を思い出した

『下野さんさ、那月の事話すとき凄く幸せそうに話すんだよ。あの人に、俺昔からお世話になってて、ずっと幸せになって欲しいって思ってたんだ

それに、あの人結構うさぎさんなんだよ？

だから、ずっとそばに居てあげてね』


「うさぎ、ね…」

ポソッと呟き、買い物かごを持って酒を選ぶ彼を見つめる。



買い物を済ませ、いつもは電車で帰る道を歩いて帰る
少し冷たい風が吹き、夜空がとても綺麗だった


紘「寒くない？」

「大丈夫。…ねぇ、下野さん」

紘「ん？」


あぁ、私はこの人の笑顔が大好きだ
だって胸がギュッて痛くなる…言葉では現せないほど…


「大好きだよ」

紘「！…突然どうした？」

「そー思ったの！」


照れくさくて、少しヤケになって返すと
いつものように笑いながら、クシャッと頭を撫でた


紘「俺もだよ。俺も大好き」

「〜ﾂｯ…/// は、早く帰ろ」

紘「ははッ、そーねw(ほんと可愛いなぁ)」

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