元公安の彼女は車椅子に乗っています。

２６． ページ27

哀ちゃんが見ていた。








『だめ！！哀ちゃん！見たら！！』








その瞬間、重機が押し潰された。




『…そんな……っ…』









公安で何度も何度も観てきた。





もう…慣れていたはずだった。






6年という月日は長い。

人が死ぬところを6年も見ていない。





耐性がなくなり、驚きが隠せなかった。







「…助かった……？」









「やったー！！！コナンくんのおかげですね…！！」








観覧車の中から出れた。



けど、私には喜ぶ心の余裕なんてなかった。








『…哀ちゃん……ごめん。

子供にあんなの………』









「……大丈夫…」









『…守れなかった。また1人。
失ってしまった……』









自分の手を強く握った。




なんのために。

誰のために公安に。



これじゃあ……、何の意味もないっ。



この6年間、私は何をしてきたの。






「A…！！！」







零くんの声に顔を上げた。









「A……」









降谷side




ゴンドラの中のAたちが何を見ているわかってしまった。




「Aっ…！！！！」





膝から崩れ落ちた。





『…守れなかった……。

哀ちゃんに……残酷なとこを…

手が…っ……動かなかったの…っ』





握りしめたのであろう、Aの小さい手から血が出ていた







『……なんで…っ……』







外だろうと、人が沢山いようと関係なかった。



「…今回の事故はお前のせいじゃないんだ…！！

だから、そんなに自分を恨まないでくれ…っ」









『わかってるよ……わかってるけど…』





Aは静かに泣き始めた。

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