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お見合い46 ページ46

A『お兄ちゃんの羽織は、いつになったらくれるの?』




兄『なんだ、まだ言ってるのか』





私はお兄ちゃんの羽織をいじりながらそう言う。



苗字に『雨』が入っているだけあって、

私達家族が着る衣服は雨を連想させるようなものばかりだ。



羽織は、『鮫小紋』という模様。


私は、兄のお下がりを欲しがるので、

自分の羽織は持たずに兄のお下がりを待っていた。





兄『Aにはもっと可愛い色がいいだろ。

それに、Aにとっては大きすぎるよ』





この時、私は十一で、兄は十六だった。


兄は細身で背が高く、

私が羽織が着れば裾が床につくほど。





A『やーだ!私はこれがいいの!』





でも、私はその羽織が欲しかった。



お母さんからは、桃色やみかん色の羽織を勧められたが、

お兄ちゃんが着ているこの青の羽織が私に何よりも美しく見えた。





兄『Aが大きくなったらあげるさ。

まあ、その時はもう好きじゃないかもしれないけどな』





お兄ちゃんはそう言って、私の頭を撫でた。



ううん、ずっと好きだよ。

その羽織が着れるくらい大きくなるんだ。





兄『お母さんには内緒だぞ』





お兄ちゃんは、そう言って筆と朱をとる。



お兄ちゃんはいつも目尻に朱をさしていた。


祖父から教えてもらった魔除けのまじない。

お兄ちゃんは時々私にやってくれた。



私は兄と違ってキツイ顔立ちだから、

朱をさすと余計それが目立ってお母さんは嫌がる。




でも、私はお兄ちゃんとお揃いなのがいいのだ。





A『おそろい!』




兄『嗚呼、お揃いだな。ずっと、ずっと一緒だぞ』





お兄ちゃんはそう言って、私を優しく抱きしめた。




こうやって、私達はずっと一緒にいる。


そう思って、一度も疑わなかった。





ある日、お兄ちゃんはいつものように出稼ぎに行った。



お母さんは薬が切れたので薬屋に、

お父さんは町の会議に出かけていた。



私はいつものように一人で遊びながら、

大好きなお兄ちゃんの帰りを待っていた。





兄『A……』




A『おにい……ちゃん?』





帰ってきた兄の額には、大きなツノが生えていた。

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渡邉 なちゅ。(プロフ) - 花帆さん» ありがとうございます!その件に関しては、二巻のほうで続きが若干書かれています。そうですね、自分たちを重ねて、この二人には生きて欲しいと心の中で思っていそうですね! (2019年9月7日 9時) (レス) id: 1c6c46020b (このIDを非表示/違反報告)
渡邉 なちゅ。(プロフ) - バナナ さん» ありがとうございます!毎日できるだけ更新しますので、楽しんで頂けると嬉しいです! (2019年9月7日 9時) (レス) id: 1c6c46020b (このIDを非表示/違反報告)
花帆 - 面白いです!善逸くんと他の子がデートしてたぽいのが、後にどうなるのか…気になります!! 夢主さんとお兄さん仲良すぎて辛い…(つд;*)炭治郎と禰豆子と重なったりしそう…(泣) 続編も楽しみです(o>ω<o) (2019年9月7日 4時) (レス) id: aa0adc990d (このIDを非表示/違反報告)
バナナ - すごく面白い!更新楽しみです! (2019年9月6日 22時) (レス) id: 4fbc396aff (このIDを非表示/違反報告)
渡邉 なちゅ。(プロフ) - こんなんでどうですか。サブさん» ストレートな告白ありがとうございます!応援ありがとうございます!とっても嬉しいです!投票をして頂き感謝感激雨あられでございます! (2019年9月4日 23時) (レス) id: 1c6c46020b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:渡邉 なちゅ。 | 作成日時:2019年8月30日 7時

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