お見合い相手が泣き虫な金髪君だった

お見合い４５ ページ45

A『お兄ちゃん！どうしたの、その紅葉？』




兄『嗚呼……これはねぇ』




母親『今日のお見合い相手に叩かれたんですって』




A『どうして？』




兄『Aの話ばかりしたら、

「身内贔屓もいい加減にして」って怒られてなぁ。


といっても、あっちからその話をしてきたのに……』




母親『アンタがAの話しか興味を示さないからじゃない。

妹思いの兄で良いことだけど、それじゃいつまで経っても結婚できないわよ』





お兄ちゃんはお母さんの言葉に、

「Aが大きくなるまではいいかなぁ」と言った。



私が大きくなったら、

お兄ちゃんの貰い手はいなくなってしまうだろうに。





A『じゃあ、私がお兄ちゃんのお嫁さんになる！』




兄『A……うん、結婚しよ』




母親『もう、アンタ達は本当に仲がいいわねぇ』





私は、お兄ちゃんが大好きだった。



私の家は、藤の家紋がついている。


祖先が鬼殺隊に助けて頂いたらしい。



そのため、鬼殺隊と交流があり、

隊士の娘と見合いの話がよくきた。




でも、兄は身内第一で、

身内と他人の接し方に天と地の差があった。



家族と話している時は、

よく笑い、よく話す気さくな感じなのに、


見合いでは、相槌くらいしか打たない赤べこ状態。



そのため、見合いがあっても断られるばかりだった。





A『どうして、お兄ちゃんがお断りされるの？

こんなに男前なのに』





お兄ちゃんは、町に出稼ぎに行っていた。


町では、その容姿でとても人気だった。

また、仕事中は愛想があったので告白されることもしばしば。





母親『それは、お兄ちゃんがAのこと好きすぎるからだよ』




A『好きだと駄目なの？』




兄『Aが好きな俺も含めて、愛してくれる人がいればいいんだけどなぁ』





お兄ちゃんはそう言って、

「難しいかな」と笑っていた。




私は、お兄ちゃんが好きだからそれでいいとおもっていた。



大きくなったら、お兄ちゃんとこのお家を守っていく。





……それでいいと、思っていたんだ。

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