お見合い相手が泣き虫な金髪君だった

お見合い３２ ページ32

煉獄「お館様に嘘とはいい度胸だな！」





煉獄さんの声が聞こえる。

多分、それが柱の総意見だと思う。



少しだけど、柱が殺気立ったのがわかった。





お館様「次、嘘をついたらわかっているね？」




A「……申し訳ございません」





お館様からの圧力に私は大人しくそう言った。



……次、嘘をついたら危険だ。

殺されるかもしれない。





A「……涙の呼吸は、

鬼に限りなく無に近い刺激で鬼の首を跳ねることができます」




宇隨「鬼に情けだと？おい、鬼殺隊員がそんなんでいいと思ってるのか」




A「……そう言われるから、雨の呼吸だと騙っていました」





鬼に情けなど無用。


皆が口を揃えてそう言うが、私はそうは思わない。





お館様「Aが鬼に情けをかけていることは確かだが、

今までの任務で鬼を見逃したことは無い。


そこに関しては、お咎めは無いよ。



では、二つ目」





お館様の言葉に息を一つ吐く。



次……次は、なんだ。

隠し事が多すぎて、わからない。





悲鳴嶼「黙りとは哀れな……もはや、鬼の味方をしているのでは……」




お館様「少し圧をかけすぎたね。


では、質問を変えよう。

どうして柱になりたくなかったのかな？」





悲鳴嶼さんの言葉に一度息が詰まった。



その時、ふと隣で息をする音が聞こえた。


そろり、と冨岡さんを見る。

彼は視線で、『呼吸をしろ』と告げていた。



私は大きく息を吸い、それを吐いた。


緊張で呼吸が浅くなっていたようだ。





A「……柱という肩書きだけで、鬼は恐怖心を抱きます。



私は、それが嫌でした。


鬼には穏やかに逝ってほしい。

できるだけ恐怖心や痛みを与えたくは無かったからです」





私は、そう言い放った。



嘘じゃない。

柱になりたくなかった理由の一つだ。



だから、大丈夫……なはず。





お館様「そう、他にも理由があるのかな？」




A「っ……」





息が詰まる。



……嗚呼、できることなら帰りたい。

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