お見合い相手が泣き虫な金髪君だった

お見合い２６ ページ26

A「善逸さんは私が運びます」




隠６「そ、そんな！雨仁様にそんなことはさせられません！」




隠７「そそ、そうですよ！

雨仁様はお休みになられたほうが……」




A「お気になさらず、私は無傷です。

隠の皆様のほうがつかれていらっしゃるでしょう」





私はそう言って、ひょいと善逸さんを持ち上げる。



善逸さんは、

「我が人生に一生の悔い無し」と言った。





隠４「雨仁様にそんなことさせられませんから！」




隠５「羨ましい！」




隠６「そこどけや！！」





隠の人たちがそう言う。


最後の人達、なんか変だった気がする。





伊勢時「A、なに困らせてるんだ」




A「別に」





伊勢時が呆れ顔で私に告げた。



「お前は子供っぽいところあるもんな」と伊勢時は私の頭をつつく。


そんなこと言うのお前くらいだよ。





伊勢時「残念だが、お館様からお呼び出しだ。

婚約者は隠に任せて、お前は屋敷へ行くぞ」




A「……」





お館様に呼ばれるなんて……。


なんてついてないんだ。





A「くれぐれも……雑に扱わないようにお願いします」




隠６「は、はいっ！」





私はそう言って、善逸さんを隠に渡した。



善逸さんは鼻周りの包帯を赤く染めていた。

……何故に鼻血？


まあ、顔が幸せそうだったのでいいか。





伊勢時「お前が駄々をこねるなんて珍しいな。

今まで、目に映る全てに無関心ですって感じだったのに」




A「そうだね」





私はそう言って、ゆったりと歩く。



こんなに話したのも久しぶりだ。


それに、善逸さんは私の大切な人の一人になってしまった。




……これを、恋と呼ばずしてなんと言う。

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