お見合い相手が泣き虫な金髪君だった

お見合い２ ページ2

Aｓｉｄｅ





鬼殺隊として、日々危険と隣り合わせの生活を送っている中、


私に一つの機会が訪れた。





A「お見合い……ですか」




父親「嗚呼、そうだ。

お相手は、今年入隊した鬼殺隊員だそうだ。



昔世話になった人からのお声掛けでね。


一度でいいから、会って欲しいらしい」




A「……左様ですか」





私に一つの縁談がきた。



鎹鴉から言われ、家に帰ったらこれを言われた。


見合いする暇があるなら、私は任務をしたいんだが……。





A「父上、私の見合い経歴をお忘れで？」




父上「……見合い回数七回、相手側から断れること七回。

忘れるわけがないだろう……っ！」




A「……期待なさらずに」




父上「お父さん、そろそろ孫の顔が見たいな！」




A「母上をお呼びしましょうか」




父上「そういうわけじゃないっ！」





私から生まれようが、母から生まれようが子供は子供だが……。


孫にこだわる理由がわからん。




私は、これまでにも見合いをしたことがある。



だが、全て一度の顔合わせで断られてしまった。




それもこれも全て……。





父上「折角、お母さん似で綺麗な顔してるんだから笑いなさい！」




A「……はあ」





この仕事をしない表情筋と愛想のせいだった。


私的には、笑顔と愛想は母の腹に置いて行ったと思っている。




壊滅的に動かない表情筋と、


愛想の『あ』の字も無い言動と、


刀を振るうため鍛え抜かれた肉体のせいで、



私は『女性』として見られず尽く見合いが破談していた。





A「見合いの日はいつですか」




父上「三日後だ。それまでに支度をするように」




A「承知しました」





私はそう言うと、父上の部屋から出た。



父上には悪いが、私に好意を抱く男は現れないと思う。


私も男だったら、こんな女性らしく無い奴は嫌だ。





A「何刻持つか……いや、何分か」





私はそう呟きながら、

お館様が待つ産屋敷にご報告するため足袋を履いた。

お見合い３→←お見合い１

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す