お見合い相手が泣き虫な金髪君だった

お見合い３ ページ3

A「お館様、失礼致します」




お館様「Aだね、お入り」





お館様の声が聞こえてから、私は襖を静かに開ける。


そこには、お館様とその娘様二人が座っていらっしゃった。





A「お館様がお元気そうで何よりでございます。


本日は、ご報告するために参りました」




お館様「嗚呼、頼むよ」





私は、任務の報告をお館様にする。



何故かは知らないが、

お館様はよく私を屋敷に招いては報告をするように命ずる。



鎹鴉で現状把握しているはずなのに。





お館様「Aの働きぶりは素晴らしい。

いつも助かっているよ、ありがとう」




A「身に余るお言葉、感謝致します」





私はそう言うと、「失礼しました」と頭を下げる。


報告も終わったので、家に帰らねば。





お館様「少し話をしていかないか」




A「……お話、ですか」





私は帰ろうと襖に向けていた姿勢を戻し、

またお館様と向き合う。



……実は、お館様が私を屋敷に招く理由を知っていた。





お館様「『柱』の件は、考えてくれたかな？」




A「そのことですが……若輩者の私には務まらないかと」





そう、この話だ。


『柱』の話。




私は入隊してもう四年目になる。


二年目の始めに甲になり、

それから早くも二年が経過しようとしていた。



そのせいか、お館様から「柱にならないか」と言われたのが半年前。


それを断ったら、月一で屋敷に呼ばれるようになった。





お館様「君はよく働いている。

柱になっても可笑しくはないと思うよ」




A「……いえ、私なんかが。

覚悟が足らぬ者が柱では、みなに示しがつきません」





私はそう言って、お館様を見る。



……ぶっちゃけ、柱とかどうでいいんだよね。


地位よりも任務に駆け回っていたいからさ。




それに、私は現柱の輩が苦手なんだよな。





お館様「そうか。なら、また今度聞くよ。

いい返事を待ってるからね。



それと、これを胡蝶に届けておくれ」




A「……はい」





私はそう言うと、今度こそ部屋から出た。


また聞かれるのか。もう勘弁してくれ。




それに、この小包み……なんだろ。


胡蝶邸……面倒くさいな。

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