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「…ホントはさ、出歩いて良いような状態じゃなかったんだよね…でも、最後にどうしても総悟と出かけたくて。先生に無理言って、許可出してもらったんだ。それで倒れちゃうなんて、バカだよね私。結局総悟にまで迷惑かけてさ…ゴメン、こんなことになっちゃって」
「謝んな、別に言う程気にしちゃいねーよ」
…やっぱ、具合悪かったのか。
それなのに全く表に出さねーで、あんな楽しそうに笑ってて…体キツいの、俺に悟られねーようにしてた。
ホント強ェ奴だよ、お前は。
「つーか最後って何でィ、俺ァまだまだてめーを連れ回す気満々だってのに。何勝手に最後にしようとしてんだ、おめーは俺ともう出かけたくねーってのかよ」
「…出かけたいよ…総悟と一緒に、行ってみたい場所まだまだ沢山ある。でも私の体、もう本当に限界みたいでさ…お腹の中に穴開きかけて、血まで吐いちゃって…今すぐ手術したとしても、助かる見込みはほとんど無いって言われちゃった…奇跡でも起こんなきゃ、無理だって…」
突然のそんな告白に思わず絶句した。
何だそれ。
いつの間にそんなに悪くなってたんだとか、何で今まで俺に話さなかったんだとか、色々言いてェことはあったけどどれも言葉になんなかった。
何やかんやで毎日見舞いに来てたくせに、Aの変化に気付けなかった俺にそんな文句言う資格はねェ。
「…だから諦めるってのか?てめーそんなに諦め良い奴じゃねーだろィ。手術受けりゃまだ助かるかもしれねェ。どんだけ確率低くたって、全くのゼロじゃねーんだ。ちょっとでも可能性あんなら、それに賭けてみろ。人のこと散々振り回しといて、勝手に死ぬなんざ俺ァ許さねーぜ」
なるべく動揺してねェフリしながら不器用な言葉で励ましてやんのが、今の俺の精一杯。
Aの目から、涙が頬を伝って枕の上を濡らした。
俺の肩がピクリと揺れる。
「……く、ない…」
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作者名:影咲 遥 | 作成日時:2017年12月4日 22時