38個 ページ39
何となく、真っ先にやってきたのはゲーセン。
こいつゲーム好きだし、此処ならそこまで体力使うことなく楽しめるだろう。
その判断は間違ってなかったようで、初めて来たそこにAは大興奮だった。
「げッ…てめー、いつの間にこんな腕上げやがったんでィ…タイム大接戦じゃねーか」
「えへへ、総悟が居ない夜とかに特訓してた!」
「マジか…そのうちテレビゲームすら勝てなくなりそうで怖ェや」
「いつか絶対追い抜いてやるもんね!」
レーシングゲームではNPCをぶっちぎって俺とほぼ同着ゴールを決め、初めてやる筈のクレーンゲームではどこで覚えてきたのかもわからねェ妙な技使ってあっさり景品を大量ゲットし、メダルゲームでも大当たり出して大量のメダルを手中に収め……ゲームの才を惜しげも無く発揮して店員に泣かれる事態を引き起こした。
流石に持ち帰るには多すぎるっつーことで、小せェ景品はブッサイクなうさぎのマスコットを色違いで2個だけ残して周りに居たガキ共に配ってメダルも2枚残してあげちまってた。
手元に残ったのはそれらと、5、60cmくらいありそうなでけェひよこのぬいぐるみ。
Aの細腕に抱えられたそれも、こいつがクレーンゲームで200円でゲットしたやつだ。
「つーか、そういうの
「んー?そういうモンなの?」
「普通はな」
女が欲しがったモンを男が取ってやるっていう定番の流れは、こいつには通用しねーらしい。
この手のゲームのスペックは俺よりもこいつの方が上だ。
「次はどこ行くの?」
「着いてのお楽しみっつーことで」
「わかった、期待してる」
でけェひよこがAの手を占領しちまってる所為で手が繋げねェから、はぐれねーようにAの着物の袖を掴みながら次の場所へと歩く。
うきうきしながらついて来るAを見て、可愛いとか思っちまった俺はだいぶ重症だ。
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作者名:影咲 遥 | 作成日時:2017年12月4日 22時