20個 ページ21
こいつの遊びに付き合ってると、時間経つのがやたらと早く感じる。
気が付けばもう日が暮れてて、面会の終了時刻も迫ってた。
「んー!今日も楽しかったぁ〜…満足満足!」
「そりゃ良かったねィ」
「相手してくれてありがとね、総悟!」
「おぅ、どー致しまして」
そろそろ帰ろうと席を立ったところで、看護師がAに夕飯を運んで来た。
体の栄養にはならねーってのに、こいつは毎日3食ちゃんと食ってるらしい。
理由はいつか手術して病気が治った時、消化機能を損なわねェ為とか何とか。
「そういえば、総悟この後休みとかある?」
「あァ?何でィいきなり。休みじゃなくてもいっつも此処来てんだろーが」
飯を口に放り込みながら、Aがそんな質問をしてきた。
別に俺の休みなんて、こいつにゃ関係ねェ筈だが。
「それもそうなんだけどさ、ちょっと外行きたくて。お医者さんに話したら、誰かと一緒ならOKって言われたんだ!だから総悟、一緒に来てくれないかなーって。休みじゃないのに出歩いたら、土方さん?だっけ。その人にサボりバレちゃうかもしれないじゃん?だから総悟が休みの日の方が良いかなーって思ったわけなのです」
成る程、そういうことか。
こいつは相変わらず、変なとこに気ィ回してやがる。
だが確かに、Aの言うことにも一理ある。
うっかり土方にでも見つかっちまえば、折角の快適なサボり場所がバレちまうかもしれねェ。
そうなりゃ今みてェに通うのも難しくなっちまうだろう。
それは双方にとって望ましくない。
「…確か4日後だった筈でィ、次の非番。そこで良いんなら付き合ってやらァ」
「ホント!?やった、ありがとね総悟!それじゃ私も4日後に外出許可取っとくから、よろしく!」
またいつもの笑顔を見せるA。
こいつの笑顔も見慣れたモンだが、それでも未だに俺の心臓は暴れ出すのをやめねェ。
数日前に心臓がおかしくなる原因についてあれこれ考えた結果、導き出されたのは何とも自分らしくねェ答えで。
「…何で、こんな女なんだろうねィ…」
「ん?何か言った?」
「いーや、別に」
ボソリと呟いた言葉は幸いにもAには伝わらなかったようで。
差し迫る面会終了の時刻に合わせて、俺は病院を後にした。
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作者名:影咲 遥 | 作成日時:2017年12月4日 22時