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15個 ページ16

「こいつ、家族居ないのか」

「ッ……?!」


俺が考えてたことを口に出されて、思わず肩が跳ねる。


「あ、その感じは当たったっぽい?やったね」

「…お前エスパーか何かかィ」


普段ポーカーフェイスだの何だの言われてる俺が、あっさり考えてること読まれちまってる。
別に顔に出してたつもりも無かったのに。


「人が考えてること読むのが得意なだけだよ。えっと、とりあえずお察しの通り親は居ない。っていうか血縁者居ないって感じ。入院費用は父さんが死んだ時の保険金ね。あと何か聞きたいことある?」


こいつ、何事もねェように平然とそんなこと言いやがる。
家族居ねェことも、自分が死ぬことさえも。
こいつの頭ん中は、心ん中はいったいどうなってんだ。


「…何でんなベラベラと、会って間もねェ俺に話すんでィ。込み入った事情話すような間柄でもねーだろ」

「んー…久しぶりに病院関係者以外の人とまともに話せて楽しいからかな?病院に居るといっつもお医者さんや看護師さんとしか話さないから。結構寂しかったんだよね〜…お見舞いに来てくれるような友達も居ないしさ」


それを聞いて納得した。
そりゃ、こんなとこにずっと居りゃそうそう他の奴と話すこともねェだろう。

個室だから他の患者と話す機会もそんなにねェだろうし、家族が居なきゃ面会人なんてほとんど来ねェ。
寂しいって思うのも、当然っちゃ当然だ。


「ありがとね、こんな話に付き合ってくれて。久しぶりにすっごい楽しかったよ!」


余程嬉しかったらしい、すっかり消え失せてたAの笑顔が戻ってきた。
それを見て、またでけェ鼓動を刻む心臓。


きっとこいつは、俺が帰ればまた独りの寂しい入院生活に戻るんだろう。
そう考えたら俺の口は、自然とその言葉を発していた。



「……また来てやる」

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設定タグ:銀魂 , 沖田総悟   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:影咲 遥 | 作成日時:2017年12月4日 22時

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