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「…成功率30%以下、失敗したら即死亡」
「え……」
「確かに手術が成功すれば治るよ。でも、もし失敗したらその時点で私は死んじゃう。手術しなければ生きられた分の時間も、全部無くなっちゃう。それならやりたいこと全部先にやっちゃってから手術した方が、例え死んじゃったとしても後悔しないかなって。病院の中じゃできないことも多くて、なかなか思うようにいかないんだけどね」
そう言ってAは、ゴロンとベッドの上に寝転がった。
その表情はどこか寂しそうで、見てるとこっちの胸が痛くなってくる。
何で俺が、こんなシャボン女なんかに胸痛めなくちゃならねーんだ。
こいつに会ってからというもの、俺がどんどん俺じゃなくなってく気がする。
不思議とそれを嫌と思ってねェ自分自身に戸惑うばかりだ。
「なら今日みてーに、外出許可貰ってあちこち出歩きゃ良いじゃねーか。何してェのかは知らねーが、病院の外ならできることもあんだろィ」
「もー、簡単に言わないでよー。一人じゃそんなホイホイ外出許可なんて出してもらえないんだって。一人で出歩いて何かあっても困るからって、ホント必要最低限しか出してもらえないの。今日だって相当無理言って出してもらったのに、怪我までして帰って来ちゃったから…うん、当分無理かなぁ…」
一人。
その言葉の意味がわかんねー程鈍くはねェし、今度はそれを口に出すような馬鹿なこともしねェ。
こいつ、家族居ねェんだ。
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作者名:影咲 遥 | 作成日時:2017年12月4日 22時