検索窓
今日:3 hit、昨日:2 hit、合計:61,144 hit

10個 ページ11

「……ハァ、仕方ねーな。これでも一応おまわりさんなんでねィ、送ってってやるから感謝しろィ」

「え、ホントに!?すっごい助かるよ、ありがとう総悟!!」


またこの笑顔だ。
こいつ、笑う時ホントに嬉しそうに笑いやがる。

それを見る度に、何故か暴れ出す俺の心臓。
いったい俺ァどうしちまったんだか。


「ほれ、この場に放置プレイされたくなかったらとっととぶち撒けた物拾いやがれ」

「あ、うん!ゴメン、ちょっと待っててね」


マジで地面を這いずるように移動しながら、袋から飛び散った物を拾うA。
身に纏ってる空色の着物はすっかり土で汚れちまってた。


再び俺の口から溜め息が漏れる。
仕方なく、その辺に落ちてる物を拾うのを手伝ってやったわけだが…


「…おい、何でィこりゃ」

「え、洗剤」

「何で入院生活に洗剤が必要なんでィ」

「シャボン玉の材料にするから。そのメーカーの洗剤が一番割れにくいシャボン液作れるんだよね〜」


袋ん中に入ってたのは、同じ銘柄の洗剤が数本と洗濯のり。
それに砂糖と蜂蜜。
明らかに入院生活に必要ねェモンばっかりだった。


聞けばこれ全部、シャボン玉の材料なんだと。
…どんだけ好きなんでィ、シャボン玉。


「んじゃ、とっとと行くぜィ。背中乗れ」

「はーい、お邪魔します」


屈んで背中向けてやると、Aは俺の首に腕を回して背中に乗ってきた。
だが。


「……軽ィ」

「ん、何か言った?」

「…いーや、別に」


背負い上げたこいつは、ホントに人間背負ってんのかって疑いたくなるレベルで…軽かった。
落ちねェようにと首に回されてる腕も、まるでゴボウみてェに細い。


「お前、ちゃんと飯食ってんの?」

「ごはん?食べてるよ、病院食だから味薄くて美味しくないけどねー」

「…そーかィ」


見た感じ元気だから忘れそうになるが、こいつも何かの病気持ってて入院してんだ。
この軽さも細さも、その所為なのかもしれねェ。


思い出される、死ぬ間際の姉上の細くなっちまった腕。
無性に胸が痛くなって、俺はそれ以上何も言わずただ病院を目指して歩いた。


「…総悟?」


俺の名前を呼ぶAの声にも、聞こえねェフリをして。

11個→←9個



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (45 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
62人がお気に入り
設定タグ:銀魂 , 沖田総悟   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:影咲 遥 | 作成日時:2017年12月4日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。