色を取り戻した世界 ページ24
"当機は絡繰技師「中田 重久」によって製造された対人戦用絡繰戦闘機である。"
白と黒しか見えなかった俺の世界に、一気に色が戻ってくる。
こいつがAの作り主ってこたァ、もしかしてAは…!!
「お願いしやす、Aを…Aを助けてくだせェ!!」
自然と口から言葉が出てくると同時に、初対面のおっさんに向かって頭を下げた。
三つ指ついて、床に額がぶち当たるくれェ全力で。
俺が他人に頭下げる機会なんざ、生涯もうねーだろう。
Aが戻ってくるのなら、俺の安いプライドなんざ溝に捨ててやる。
「"直せ"、ではなく"助けろ"か…。儂の娘を随分と大切にしてくれていたのだな、沖田くん」
その言葉に頭を上げると、目の前に居たおっさんは優しいツラして俺を見てた。
「沖田くん、貴殿が彼女…"A"を大切に思ってくれていたことは近藤くんや土方くんから聞いていたよ。"月読"は戦闘用の絡繰だ。戦うために作られ、戦いの中で壊れ死んでいく戦人形。そういう役割を"月読"に与えてしまった儂が言えた義理ではないのだが…儂の娘に名を付け、大切にしてくれてありがとう。心から礼を言わせてもらうよ」
「…俺ァ、んなこと言われる資格なんてねーんです。アンタが言う通りの用途で使い潰すつもりで、あいつを拾いやした。何度も何度も戦わせて、傷付けて。それを当たり前に思ってた。Aが死ぬまで俺ァ…あいつに惚れてたって気付けなかったんでさァ。
そんなんで、あいつを大切に思ってたなんて…俺の方こそ言えた義理じゃねェ。けど…俺ァまた、Aと生きてェんです。もう二度とあんな目には遭わせねェ。今度は俺がAを護りやす。俺にできることなら何だってしやす。金だって幾らでも払いやす。だからAを、Aを…!!」
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作者名:影咲 遥 | 作成日時:2019年12月2日 12時