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"死" ページ20

「痛ってェ…って、あり…?」


吹っ飛ばされた体に感じたのは、予想してたよりも遥かに小さな衝撃だった。
例えんなら、何か硬ェモンで横っ腹殴られたような、その程度。


おかしい、あんな如何にも殺戮兵器ですと言わんばかりの攻撃喰らってこの程度のダメージで済むわけがねェ。
確実に死ぬような状況で、何で俺ァ今生きてる…?


我が身に起こった現象の謎を解き明かすべく、光に眩んだ目を開けて、床に倒れ込んでた体を起こす。
徐々に視界が蘇った、その先にあったモノとは。


「……え」


閃光に焼かれ焦げた床、倉庫の壁から壁を貫通したようにポッカリ空いた丸い穴。
さっきまであの通り道に俺は居た筈なのに、何故か俺の体はその経路から大きく外れた場所にあった。
そして。


「ご、無事…デス、か…ソウ…ゴ、さマ…」


聞こえてきたのは、まるで家電が壊れる時のようなピー、ガーといった耳障りな雑音交じりの言葉。
見えたのは、Aの腹に開いた大穴。
そしてあれだけ大事だと言ってたAの、半分砕けた真っ赤な核。


「…A…?」


一瞬で、俺の身に起こったことの全てを理解した。
Aが即死級のあの攻撃から、俺を護ったんだと。
自らの身を、犠牲にして。


「A…」


打ち身の鈍い痛みを伴った体で、俺から少し離れた場所に倒れ伏したAの元へ這うように向かう。

核が壊れねー限り自己修復は可能だと、Aは言った。
核の損傷だけは、自己修復できねー…とも。


からくりの体からは、血なんて流れねェ。
からくりの体には、心臓なんて存在しねェ。


だけど…からくりにも"死"は存在するんだ。


俺の目の前に転がった"それ"はまさに今、"死"を迎えようとしてる。
自らが壊れんのも厭わず俺を庇って、機能停止しようとしてる。


こいつはただのからくりであって人間じゃねェ。
魂なんて存在しねェからくり。
気まぐれで拾ったただの玩具の筈だったのに。


何故視界が曇る?
何故涙が零れ落ちる?


…今更ながらに気付いちまった。
俺ァ、Aのことが…


「好き、だったのか…」

遅すぎた自覚→←閃光



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設定タグ:銀魂 , 沖田総悟   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:影咲 遥 | 作成日時:2019年12月2日 12時

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