【銀魂】影は貴女のすぐ傍に【沖田総悟】

影11 ページ40

「ったく。だから言ったろィ、危ねーって。怪我して鎚触れなくなったらどーすんでィ」

「お、沖田さん…」


倒れかけた体を腕で支え、俺の方に引き寄せてやればAの頬はリンゴ顔負けレベルで真っ赤に染まってた。
あー可愛い…早ェとこ俺のモノにしちまいてェ。


「た、助けてくれてありがとう…ございます…」

「おー。次から気ィ付けろィ…ッ!?」


突如、ゾワリと全身の皮膚が泡立つような感覚が俺を襲った。
この感覚には、嫌って程覚えがある。


今まで散々この身に浴びてきたそれは、人間が発する明確な悪意。
死と隣り合って生きる者にとっちゃ、日常茶飯事とも言える程に身近な存在。


何者かから放たれた殺気、それがこの感覚の正体だ。
まずい、そう思った時にはもう遅かった。


「ッハ…う、ぁ…」

「……!!おい、しっかりしやがれA!A!!」


見ればAは涙と冷や汗流しながら震えてた。
呼吸もどんどん荒くなってく。


俺にとっちゃなんてこたァねーモンでも、一般人であるAにとっちゃ殺気(それ)は未知の代物。
容赦なく降り注ぐ悪意の塊なんか浴びて平気でいられるわけがねェ。


Aを殺気から庇うべくその体を抱きしめると同時に…Aはプツリと意識を手放した。


「Aッ…!!クソッ!!」


力の抜けた体を抱えて支えながら、殺気の主を探す。
だが俺が辺りを見回したその時には…俺達に向けられてた殺気は、その痕跡すら残さず消え去っていた。


「…いったい誰が」


いや、そんなのはどうだっていい。
もし"俺のA"に危害加えようってんなら、誰だろうと容赦しねェ。
二度とAに近付こうなんて気が起きねーよう、徹底的に潰してやらァ。

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