空は広いが案外障害物だらけだったりする ページ17
「なァ」
「ん、なに?」
バサリ、と翼を羽ばたかせながらAが俺の前に降りてくる。
やっぱこいつは飛んでるとこが一番綺麗だ。
調子に乗るから絶対言ってやんねーけど。
「久しぶりに俺のことも乗せやがれ」
「えー、そーちゃんでっかくなったから重いのに。仕方ないなぁ…」
文句を垂れつつも、Aは俺に背を向けて"どーぞ"と言わんばかりに羽を広げた。
その背に体を密着させて、落ちねーようにと首に腕を軽く絡める。
それを合図に、俺はAに背負われる形で宙に浮かび上がった。
向かう先は山の頂上付近。
歩いて行けばかなりの時間がかかっちまうが、こうして飛んでけばあっさり辿り着ける。
「おー、相変わらず良い眺めだねィ」
「そりゃ当然でしょ、この私のお気に入りスポットなんだしね」
それなりに高さのある山の頂上からは、江戸の町が一望できる。
一番綺麗なのは夕方か、明かりが町を照らす夜だとは思うが…昼の景色もなかなか悪くねェ。
「でも飛ぶんなら武州の空の方が好きだな。江戸の空は騒がしすぎるし、町もごちゃごちゃだし。ろくなモン作らんよね人間って」
「ま、
どうせ飛ぶんなら、天人が作った宇宙船がガンガン飛び回るようなとこじゃなく、雲と鳥くれェしかねー広い空を飛んだ方がきっと気持ちいいだろう。
静かで自然豊かな武州の空ならピッタリだ。
「今度武州まで飛んでみようかな」
「そんときゃ俺も連れてけ、久しぶりに姉上の顔見てェ」
「うっわ、人背負ってあの距離飛ぶのか…すっげー疲れそう」
んなこと言いつつも拒否はしねーとこみると、Aも案外満更じゃねーんだろう。
善は急げ、今度非番が合った時にでも行くとすっか。
「荷物くれェは俺が持ってやっから心配すんな」
「その荷物持ったそーちゃんを持ってくの私なんだけど」
「ありゃ、バレたか」
「バレるわアホ」
文章なら伝わるモンも声にすると上手く伝わらない→←空を飛ぶ鳥が自由だなんて誰が決めた?
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影咲 遥(プロフ) - うまるさん» はい、タケ〇プター!…じゃなくて。コメントありがとうございます、やっぱり多いですね羽で飛びたい人。いつか科学が進んだらそんな装置できないかなぁ…なんて密かに願っております(笑) (2019年3月25日 20時) (レス) id: dd3bdf5d99 (このIDを非表示/違反報告)
うまる - ああぁぁぁ面白すぎるーー!そして羽で空を飛びたい!(幼い頃の夢) (2019年3月24日 22時) (レス) id: 33735b993c (このIDを非表示/違反報告)
影咲 遥(プロフ) - RURUさん» コメントありがとうございます!羽があったら、空を飛べたら、っていうのは子供なら一度は考えることですよね。ドラ〇もんの雲固めガス使ったとこにダイブしたいとか思っていた頃が懐かしい← 仕事でなかなか更新できない時もありますが、頑張りますので応援宜しくです! (2019年3月22日 13時) (レス) id: dd3bdf5d99 (このIDを非表示/違反報告)
RURU(プロフ) - この話大好きです!いつも楽しみに読ませて貰ってます!!羽があったらなーって小さい頃思っていたのでこんな小説に出会えて嬉しいです!これからも頑張ってください! (2019年3月20日 21時) (レス) id: 9ed3921c1d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:影咲 遥 | 作成日時:2019年3月5日 13時