葛餅1皿 ページ35
Aへの好意を自覚して2週間ちょっと。
相変わらず毎日のように古賀甘味堂に通ってはいるが、俺はなかなかその想いをあいつに伝えられずにいる。
そもそも女には丸っきり縁のねェ芋侍だ。
見た目だけでキャーキャー騒ぐような雌豚どもを調教すんならまだしも、本気で惚れた女が相手となるとどうすりゃ良いのかさっぱりわかんねェ。
何か良い感じのきっかけでもありゃ別だが、生憎とそういう機会には未だ巡り会えていなかった。
もう午前の営業時間は終わってっから、そろそろAが昼飯を作り始めてる時間帯だろう。
それを馳走になって、あいつが甘味作ってるとこを眺めて、開店したら何か注文して。
そんだけの時間がありゃ、どっかしらにチャンスを作れるかもしれねェ。
今日こそは、そんな毎日のように考えつつ実行されねー無意味な決意を胸に、すっかり通い慣れた古賀甘味堂への道を歩いた。
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もうすぐ古賀甘味堂に到着するってとこで、どっからか派手な音が聞こえた。
まぁ小競り合いが絶えねーかぶき町だし、そういうのも別段珍しいモンじゃねェ。
だけど…この音を聞いた瞬間、何故か嫌な予感がした。
自然と
店の前に辿り着いた瞬間、また大きな音が聞こえた。
こんだけ近くに来りゃ、流石にわかる。
今の音、店ん中から聞こえた。
そして僅かに感じた、嗅ぎ慣れた嫌な鉄臭ェにおい。
…血のにおいだ。
「Aッ!!」
閉まっていた店の引き戸を力任せに開ける。
気の所為であって欲しかった。
あのでけェ音も、血のにおいも、全部他の場所からで…Aの店とは全く関係ねーって、そんなオチであってくれりゃどれだけ良かったか。
そんな俺の僅かな希望は、呆気なく粉々に打ち砕かれる。
開け放った戸の奥に転がる、ボロボロになった机と長椅子。
店中に立ち込めた鉄のにおい。
そして…
「てめェら……そいつに何してやがんだァアアアア!!」
攘夷浪士と思わしき数人の男と、血濡れのボロボロの姿で床に倒れてるAの姿が、そこにあった。
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影咲 遥(プロフ) - 乙愛さん» ギャグ的なノリじゃなかったらめっちゃヤバいやつですね。でもギャグテンションだから許されるのです← (2019年2月21日 2時) (レス) id: d73cf733f9 (このIDを非表示/違反報告)
乙愛 - イチャイチャからの主、悲劇…。 (2019年2月19日 22時) (レス) id: 6dafc5383a (このIDを非表示/違反報告)
影咲 遥(プロフ) - 乙愛さん» 一作品の中で必ず一度は誰かしら酷い目に遭うのが影咲ワールドです← これもドSの悲しいサガというか何と言うか…はい。 (2019年2月12日 18時) (レス) id: dd3bdf5d99 (このIDを非表示/違反報告)
乙愛 - わぉ。急展開。 (2019年2月11日 22時) (レス) id: 6dafc5383a (このIDを非表示/違反報告)
影咲 遥(プロフ) - まもんさん» 次回作なのですが、実は既に別作品を執筆中で御座いまして…;残念ながらストーカー作品では御座いません。しかしながら折角のリクエストですので、以降の作品の参考にさせて頂きたいと思います。リクエストを頂きありがとうございました! (2019年2月10日 12時) (レス) id: d73cf733f9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:影咲 遥 | 作成日時:2018年11月1日 14時