63章 ページ16
「痛ったぁ……マスター、無事…!?」
「こっちは何ともねーから自分の心配しとけ。ったく、何なんでィいきなり…」
「それはこっちの台詞だっつーの。人の仲間を殺しまくった挙句、商品を持ち逃げしやがって。覚悟はできてんだろーな?」
マスターが背中を支えて起こしてくれると同時に、半化けした兄上が足音を立てずに歩いてきた。
気配も匂いも完全に絶って奇襲を仕掛けるのは兄上の得意技だ。
それをされれば幾ら翠狼族といえども気付くことはできない。
私が兄上に背後を取られた理由もこれだ。
「…こいつが、Aの兄貴か」
「うん…名前は
「虫唾が奔るから兄と呼ぶなっつっただろーが。もう忘れたのか?翠狼族の恥晒しが」
「ッ……!!」
悔しくて、思わず手に力がこもる。
余程強く握っていたのか、爪が手のひらに突き刺さったようで微かな痛みと共に血が滲んだ。
不意に、その手に温かい物が触れる。
…マスターの手だった。
「血の繋がった実の妹を商品扱いたァ、随分鬼畜な兄上様じゃねーか。手前の親まで売っ払ったっつーし、家族の情なんざこれっぽっちも持ち合わせてねーってか」
「マスター…」
落ち着け、と言わんばかりに優しく包み込まれて、その温かさに握り締めていた拳から力が抜けた。
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影咲 遥(プロフ) - 天藍さん» 天藍様、コメントを頂きありがとうございます!あわわわ、この短期間で2周もしてくださったんですか!?ありがとうございますとても嬉しいです。お気に召して頂けたようで何よりです、是非他の作品も読んでやってくださいませ! (2018年4月18日 18時) (レス) id: d73cf733f9 (このIDを非表示/違反報告)
天藍(プロフ) - 完結おめでとうございます!これ、すっっっっっっごく好きです!昨日見つけてからもう2周しました!この小説に出てくるキャラも、作者さんも、大好きです! (2018年4月18日 18時) (レス) id: 1e59b8b255 (このIDを非表示/違反報告)
影咲 遥(プロフ) - 夜空さん» 夜空様、神作だなんて恐れ多いですが、そんな風に思って頂けてとても嬉しいです!まさかお兄ちゃんのことも好きになってくださるとは、何と心の広い…きっとどこかで彼も幸せになることでしょう。そんなお話も書けたら良いなぁ…。コメントありがとうございました! (2018年4月16日 0時) (レス) id: d73cf733f9 (このIDを非表示/違反報告)
夜空 - 完結、おめでとうございます!!何という神作…。夢主ちゃんのお兄ちゃんも私的には結構好きだな。この作品では敵キャラですけど、彼にも色々あったんでしょうね…。彼も含めて皆、幸せになってくれることを願います。素晴らしい作品をありがとうございました! (2018年4月16日 0時) (レス) id: dc393f385a (このIDを非表示/違反報告)
影咲 遥(プロフ) - 夜空 星月さん» 星月様、顔面崩壊させてしまい申し訳ありません(笑)物語として語られない部分で、きっと沖田君が夢主ちゃんを幸せにしてくれる筈です!…ドSながらに。こういったコメントを頂けると、このお話を書いて本当に良かったなと思えます。コメントありがとうございました! (2018年4月15日 16時) (レス) id: 6088c20e27 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:影咲 遥 | 作成日時:2018年3月30日 12時