43章 ページ46
向かってくる連中の刀や銃弾を身を捻ってかわし、首を爪で引っ掻いて頸動脈を裂く。
ただひたすらにそれを繰り返すだけの単純作業。
時々蹴り技や殴打も使い分け、着実に敵の数を減らしていく。
これだけ数が多いと、完全に狼化するとかえって面倒くさい。
一度に攻撃できる範囲も攻撃力も上がるけど、その分的も大きくなるから被弾率はどうしても高くなってしまう。
一つ一つの傷自体は大したこと無くても、積み重なればそれは確実にダメージとして体に蓄積されていく。
そうなればどれだけ体が頑丈でも動きが悪くなってしまうから、こういう数ばかり無駄に多い場合は小回りが利いて攻撃も避けやすい半化け状態が一番立ち回りやすいのだ。
「な、何なんだよこの女!?滅茶苦茶じゃねーかァ!!」
「怯むな!!たかが女一人やれずにどうするんだ!!撃てェ!!」
ギャーギャー喚く喧しい連中を片っ端から狩っていくが、流石に全ての攻撃を避け切るのは難しい。
時々体を掠めていく銃弾が酷く鬱陶しかった。
「そろそろ私も眠いし、降参してくんない?そしたら取っ捕まえるだけにしてあげるけど」
頬に滲む血を手で乱暴に拭い、溜め息を零す。
親切心からの忠告も攘夷浪士連中は聞く耳を持たないようで、殺気のこもった視線は向けられたままだった。
怯えて使い物にならなくなってるのも何人か居るけど。
「ったく、面倒だなぁ…アンタら程度じゃ束になっても私は倒せな…い……?」
遠くに響いた銃声。
どこから放たれたのかもわからないその弾は、吸い込まれるように私のお腹を穿った。
「……ありゃ」
私としたことが油断したらしい。
まさか遠距離で控えてるスナイパーが居るとは思いもしなかった。
ドクドクと流れ出す血と、激しい痛み。
こんな傷を負うのは春雨から逃げてきたあの日以来だな、なんてどこか他人事のように思った。
口の中に沸き上がってきた血をペッと吐き出し、再び溜め息を零す。
「とことんめんどくさいなぁアンタら。これじゃ、アンタら始末した後向こうのスナイパーさんまで始末しに行かなきゃなんないじゃん。勘弁してよね…」
「な、何で腹に穴開けられたっつーのにピンピンしてんだてめェ!?化け物か!!」
「いや、痛いよ?でも人間と違って私ら天人は頑丈だからさぁ…こんくらいじゃ、残念ながら死なないんだわ」
とはいえ深手には変わりないので、さっさと済ませてしまうことにする。
お喋りの時間は終わりだ。
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影咲 遥(プロフ) - 夜空 星月さん» 星月様、初めまして!コメントを頂きありがとうございます。多分シャボン玉よりもグダる可能性大ですが、頑張って更新していきますね!応援ありがとうございました。 (2018年1月27日 22時) (レス) id: 6088c20e27 (このIDを非表示/違反報告)
夜空 星月(プロフ) - 【シャボン玉に乗せた恋心】のときからファンです!こちらの作品も応援してます!頑張ってください!! (2018年1月27日 22時) (レス) id: 5d15086cca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:影咲 遥 | 作成日時:2018年1月27日 21時