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『今晩はとりあえずこれくらいかな。総くん明日も仕事でしょう?ゴメンね、こんな夜遅くに付き合わせてしまって』
沖「Aさんに会えるんなら別に構わねェですよ、どーせサボる気満々でしたし。また何かあったら声かけてくだせェ、次は電話でもメールでもしてくれると嬉しいんですけど」
Aさんも一応携帯電話は持ってたんで、昼間の内に連絡先は交換しといた。
なのにAさんが使ったのは、まさかの紙の鳥。
これじゃ何のために連絡先交換したのかわかったモンじゃねェ。
『うーん、最近買ったばかりでまだ慣れなくてねぇ…機械って難しいなぁ、未知の産物だよどれも』
武州の田舎を拠点にしてるだけあって、Aさんは文明の利器が苦手らしい。
俺から言わせてもらえりゃAさんが使う陰陽術の方がよっぽど未知の産物なわけだが、それと同じ感覚なのかもしれねェ。
『朧車!』
Aさんが呼ぶと、遠い空からさっき乗ったのと同じ牛車が飛んできた。
やっぱアレで帰んのか。
朧「A様、ご用事はお済みですかえ?」
『うん、終わったよ。また総くんのことを送ってあげて欲しいんだけど、頼まれてくれるかな?』
朧「承知仕りました。沖田殿、先ほどの屋敷で宜しいかえ?」
沖「へィ、そこで問題ありやせん。Aさんは、あのホテルまで戻るんですよねィ?良ければ、もうちょい一緒に居てェんですけど…」
僅かに頬を赤く染めながら言えば(勿論演技)、Aさんは少しきょとんとした後クスリと笑った。
『フフフ、総くんって昔から甘えっ子さんだったよねぇ…良いよ、私も一緒に乗って屯所まで見送ってあげるね。その後ホテルまで乗っていくから』
沖「ありがとうございやす、Aさん」
作戦成功だ。
ちょっとでも長くAさんと一緒に居たくて考えた台詞。
優しいAさんのことだから、こういえば一緒に乗って来てくれるだろうと考えたが間違ってなかったらしい。
朧車もAさんのこと運びたがってたし、これでちょっとでも恩売れりゃ一石二鳥だ。
こいつ結構便利だから、好感度上げといて損はねェだろう。
んな打算たっぷりな俺の思考を知りもせず、Aさんは微笑みながら俺の手を引いて朧車に乗せてくれた。
そっから屯所に着くまで、綺麗な景色眺めながらの空中デート。
何つーか、凄ェ幸せだ。
柄にもなく、こんな時間がずっと続いてくれりゃ良いと思った。
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影咲 遥(プロフ) - 愛音さん» 返信したコメが消えるという謎減少…申し訳ないので、もう一度お返ししますね。面白いと言ってくださってありがとうございます!これからも更新を頑張っていきますので、また読んでやってください。コメントありがとうございました! (2018年1月27日 20時) (レス) id: 6088c20e27 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:影咲 遥 | 作成日時:2017年8月30日 1時