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「え、なに……」
「…………」
神谷の体温の低い手が、ゆっくりと私の頬を撫でた。突然の接触に心臓が痛いくらいに跳ねたのがわかる。神谷の瞳は少しだけ揺れているように見えて酔っているのかと思ったけど、缶ビール1杯で酔う男ではない。
神谷は普段、こんなことをしない。無意味に触ってきたりはしない。
だって、それが私たちだから。
「かみや……?」
「…………じゃあな」
神谷はぱっと手を離して、振り返ることなくリビングのドアから出て行った。
思わず神谷に触れられていたところをなぞる。冷たい手のくせに、温もりが微かに残っていた。
「……変な神谷」
そんなことを呟いても、心臓はなかなか平静を取り戻さなかった。神谷が悪いのだ。急に、恋人らしいことを、するから。
私と神谷は恋人だ。
恋人らしい行為だって、することもある。
そこに愛があるのかは、よくわからないままだ。
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美桜(プロフ) - 続きがとても楽しみです!^^* (2023年1月26日 11時) (レス) @page16 id: 3c71fa7893 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 12話に誤字がありました。「操作資料」ではなく、「捜査資料」です。 (2019年9月22日 22時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:依香 | 作成日時:2019年9月15日 3時