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「それで、神谷はやっぱり忙しいんだ?」
「ああ……A、『キウンクエ蔵前』って知ってるか?」
「……ミキサー主婦の?」
「そうだ。うちがそこの担当なんだよ」
「なんとまあ……そりゃ大変そうだ……」
連日、新聞やニュースで見ない日はない、と言っても過言ではない。動機や詳細についてはまだわかっていないと報道されていたが、あのマンションには既に殺人が起きていると言う噂もある
しかし、神谷がまだ捜査中で帰りの遅い日が続いている……ということは、
「……じゃあ、本当に殺人マンションなの?」
「…………」
「ああ、いいの。言えないならそれで」
幾ら神谷と親しい仲と言えど、彼の守秘義務を破ってまで知りたい訳ではない。慌てて言えば、神谷は「……いや、」と言葉を重ねた。
「……確かに殺人は起きている。もう何処かの週刊誌が記事にしているしな」
「そうなんだ……」
「ただ、」
そこまで言ったところで、神谷は口を噤んだ。少しだけ視線が彷徨い、そして缶ビールの残りを呷る。
「……悪いが明日も早い。先に寝る」
「ああ、うん。どうせまだ起きてるつもりだったから」
「そうか」
神谷は明らかに何かを言いかけたけど、すぐにやめた。それが気にならないと言えば嘘になるが、深入りしない方がいいのだろう。
「朝まで起きてるなら、5時に起こしてくれ」
「わかったよ」
私もコーヒー休憩は終わりだ。マグカップをシンクに移そうと立ち上がった時、するりと頬に何かが触れた。
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美桜(プロフ) - 続きがとても楽しみです!^^* (2023年1月26日 11時) (レス) @page16 id: 3c71fa7893 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 12話に誤字がありました。「操作資料」ではなく、「捜査資料」です。 (2019年9月22日 22時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:依香 | 作成日時:2019年9月15日 3時