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無造作に手を伸ばしたマグカップの中身が無くなっていたことに気付いて、集中力もぶっちり切れるのがわかった。溜息をつきながら時刻を確認すれば23時過ぎで、胃が痛くなる思いだ。締切は明後日の正午。間に合うのだろうか。いや、間に合わせねば。お仕事だもの

よし、コーヒーを淹れ直して休憩、そしてもうひと頑張りしよう。そう思って立ち上がったところで、玄関からガチャリと鍵が回る音がした。そういえば、まだ帰ってなかったか

「……まだ起きてたんですか」

「お帰り神谷くん」

後ろ手でドアを閉めながら、呟くようにそう零した男──神谷将人は警視庁すみだ署の刑事であり、私の同居人であり、愛すべき恋人だ。冷たそうな印象を受ける鋭い目は幾許か疲労を滲ませ、いつもはかっちり着こなしたスーツも何処かくったりしている気がする

「随分遅いお帰りだね」

「ええ、まあ。大きなヤマに当たってしまって」

「それはお疲れ様」

普段以上に少ない口数に苦笑いする。相当お疲れみたいだ。スーツの上着と鞄を受け取れば、「どうも」と答えてぐったりとリビングの椅子に座る。目の前に冷えた缶ビールを置けば、少しだけ表情緩めて神谷は笑った

「今日はやけに甲斐甲斐しいですね」

「家に帰っても敬語が取れないくらい疲れてると思うと、心配にもなるかな」

「……そうかよ」

せっかく緩んだ表情だったのに、眉間にまた皺を寄せる。揶揄ったつもりはなかったが、拗ねたようなその仕草が少し可愛いと思った。神谷は缶ビールに手に取り、カシュとプルタブを引く。私もコーヒーを淹れようとキッチンに立った

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作品ジャンル:恋愛
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美桜(プロフ) - 続きがとても楽しみです!^^* (2023年1月26日 11時) (レス) @page16 id: 3c71fa7893 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 12話に誤字がありました。「操作資料」ではなく、「捜査資料」です。 (2019年9月22日 22時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:依香 | 作成日時:2019年9月15日 3時

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