【REBORN!】雪上の蝶 Ⅱ (ページ4)

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５３話ページ4

何だか懐かしいものを見ていたような気がする。

何を見ていたのかは分からないし、一体何だったのかも分からないが。

上体を起こすと少しだけ頭が痛んだ。

そういえば、日本へ来る途中で気圧(プレッシャー)に負けてジェット機の中で眠ってしまったことを思い出した。

段々と回り始めた頭を必要最小限に稼働させる。

『…ここ、どこ？』

見慣れぬ景色だ。

ヴァリアー城の自室よりかは狭く感じるが、そこよりも遥かに家具は多い。

なるほど、ここが皆が言っていたホテルと言う場所なのか。

普段眠っているのよりも小さなベッドから足を下ろすとふかふかのカーペットが素足を包み込んだ。

ブーツは入口付近に、持ってきた荷物と共に整然と置かれている。

.

誰が自分を運んだのか

というより、そもそも皆はどこへ行ってしまったのか。

そんな問いはガラステーブルの上に置かれた紙によってあっさりと解決した。

「沢田綱吉側の守護者の元へ行ってくる

くれぐれも無理はするな」

紛れもないスクアーロの字だ。

初めて見た時は、その美しい字に驚かされたのを思い出す。

カーペットの感触を楽しみながら大きな窓の前へ立つ。

窓から外を見るとネオンが明るく輝いていた。

こんなんじゃ、まともに星も見えないだろうに。

ヴァリアー城周辺の森には言わずもがな灯りなどはない。

夜になれば辺りは暗闇と静寂に包まれる。

中々眠れない夜は部屋の電気を消し、カーテンを開け
星や月を眺める。

そんな風景、ここに住む者たちは知らないだろう。

『…可哀想に』

あの場所(ヴァリアー)を思い出したら無性に帰りたくなってきた。

これが世に言うホームシックか。

まぁ、今帰ったところで彼らはいないので余計に虚しくなるだけだろうが。

つきりと痛む頭のせいで、上手く考えがまとまらない。

とりあえず、自分も皆の元へ行った方が良いような気がする。

『気配位なら、探れば分かるでしょ』