私の居場所はあるの?〜fourth〜

第55話／その男、無情につき ページ34

※流血シーンがあります
　苦手な人は注意してください

母「スピカちゃんこのお花可愛いわよ」

『本当ですね!!』

　母と一緒に中庭で花を摘んでいた

　サクラ
　マーガレット
　コスモス
　バラ
　カーネーション
　ツバキ…

　色々なお花が咲く庭で今日は
　ツバキを手入れする

母「真っ白なツバキは髪の毛で
　真っ赤なツバキは瞳
　スピカちゃんはツバキみたいに綺麗」

　毎日言ってくれる言葉
　前は商売道具でしかなかった髪も瞳も
　母は心から誉めてくれるから
　この姿で良かったと少し思えるようになった

　バタンッ!! バキッ!! ガサガサッ

　不意に物音がした
　ここは鍵がかかっているし
　鍵を持っているのは私と母だけだから
　入れるのは私と母だけなのだ
　メイドもここの空間には
　入ってこない
　それをわざわざ
　ドアを壊して入ってくるのは…

父「オイお前らぁ〜
　主人である俺のお帰りだって言うのに
　お迎えもないなんてなぁ〜
　家に帰ってもだぁれも玄関にいない
!!!!
　俺がいつ帰ってきても出迎えるのが
　お前の仕事じゃないのか!?」

　花をブチブチと切り裂いて
　こちらへ向かってくる父
　それに気づいた母は
　私をツバキの株の中に押し込んだ
　外から見えなくするために
　私は驚きすぎて動けなかった
　私が中に収まった瞬間

　父がきた

　向こうからは見えないらしいが
　こちらからは少し見えた
　いつもと様子がおかしい
　あぁ…”薬”だ
　薬をやってる人は何回も見たことがある
　父の持っている包丁には
　真新しい血がベッタリとついている
　メイドもすべて切ったのだろう

母「すみませんご主人様
　今日はお早いお帰りだと知らず
　ツバキの手入れをしていました」

　いつも父とはなすとき
　母は無機質な声を出す
　父の逆鱗に触れないように

父「あぁ…早く帰ってきた理由?
　俺はクビになったんだよ!!
　こんな惨めな思いをしたのは
　お前とあいつのせいだ…
　知ってるか…?
　昔アルビノの娘が奴 隷市場で売られていて
　その娘を買うと必ず不幸になるらしい…
　お前が…お前さえ
　あれを拾ってこなければ!!
　俺はいつまでも幸せになれたんだよ!!!!」

　 スパン

　軽い音がして母の首が飛んでいった
　目の前の白いツバキが真っ赤に染まる
　母の物だった首が何かを言った
　サイレンの音が聞こえてくる
　父は狂ったように笑い続ける
　私は赤く染まったツバキを眺めていた

　「いきて」

　いきるって…なんだっけ?

すみません！→←第55話／その男、無情につき

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す